dodaのスポーツ求人

スポーツを通して社会に貢献する“スポーツSDGs”に根差した活動です│パ・リーグ球団 仕事図鑑2026 – BEYOND THE SPONSORSHIP

株式会社西武ライオンズ × サーモス株式会社

球団×スポンサー企業 プロジェクト担当者 特別対談

プロ野球に欠かすことのできないスポンサー企業。最近では、企業ロゴの掲出にとどまらない、球団とスポンサー企業双方の共通の思いをカタチにした取り組みが増えているという。その舞台裏を担当者に聞いた。

Index

    「子どもたちを飽きさせないために工夫を凝らして授業を作りました」

    桑原 惇(くわはら・じゅん)さん
    株式会社西武ライオンズ
    営業部コーポレートセールス第一グループ

    株式会社西武ライオンズの桑原さんは、営業部コーポレートセールス第一グループに所属。身近な事例として、球場内やユニフォームなどで目にする企業ロゴは、営業担当が獲得したスポンサーです。企業にどのように「プロ野球」を活用いただけるかを提案営業するのが仕事です。看板だけでなく、冠協賛試合やシーズンシートなども販売します。

    「スポーツを通して社会に貢献する“スポーツSDGs”に根差した活動です」

    神林 由香(かんばやし・ゆか)さん
    サーモス株式会社
    社長室 ブランド戦略課 コミュニケーション2グループ

    サーモス株式会社は、魔法びんのグローバル企業として、ステンレス製魔法びん構造のケータイマグやタンブラー、スープジャーのほか、フライパンなどの調理器具といった幅広いラインアップを展開。1904年にドイツで誕生した世界的ブランドで、1978年には世界初のステンレス製魔法びんを開発し、以来「保温・保冷」の技術を追求。直接口を付けて飲む保冷専用の真空断熱スポーツボトルや、保温・保冷両用の真空断熱ケータイマグなど、業界初の製品を次々と生み出してきました。「人と社会に快適で環境にもやさしいライフスタイルを提案します」を企業理念に掲げ、これからも日々の暮らしに寄り添う「心地よさ」を世界へ届け続けます。

     

    ——まずは自己紹介をお願いします。

    桑原 株式会社西武ライオンズの桑原 惇と申します。営業部コーポレートセールス第一グループに所属しています。中途入社で球団に入って15年目になりました。法人企業に対してシーズンシートや広告看板枠の販売、イベント協賛の提案などを行っています。    

    神林 サーモス株式会社の神林 由香と申します。社長室ブランド戦略課のコミュニケーション2グループに所属しています。私も中途入社で、入社して4年目になりました。

    ——もともと野球とはどんなつながりがありましたか?

    桑原 小学校から高校まで野球部でプレーし、埼玉県所沢市出身ということもあって子どもの時から埼玉西武ライオンズのファンでした。祖父が在京の他球団の熱狂的なファンで、その影響で他球団を応援しかけた時期もあったんですが(笑)、ほぼライオンズ一筋です。

    神林 私の野球との本格的なつながりは、ライオンズさんの担当になってからです。コミュニケーション2グループのメンバーはそれぞれ弊社が協賛している案件を割り当てられるんですね。ほかにはサッカー(Jリーグ)の川崎フロンターレさん、バスケットボール(Bリーグ)のアルバルク東京さんがあり、私はライオンズさんを担当することになりました。小学校と中学校の体育の授業で野球を履修したので、だいたいのルールは把握していました。          

    ——ライオンズは2017年から 2021年にかけて本拠地・ベルーナドームを改修し、球場内メインコンコースエリア に立見席「ステンレスカウンター」を新設しました。改修が完了した2021年にサーモスが命名権を取得して、「THERMOS ステンレスカウンター」となりましたね。どんな経緯で協賛が始まったのでしょうか?

    桑原 サーモスさんといえば、ステンレス製魔法びん構造のボトルとタンブラーが有名です。「ステンレスカウンターとサーモスさんは親和性がある」と考えて、球団からサーモスさんに協賛の提案させていただきました。

    神林 弊社はSDGsの活動にも力を入れているので、協賛の内容を、「ステンレスカウンター」にロゴの広告を掲出するだけでなく、SDGsの取り組みをセットにしたいと考え、弊社からライオンズさんに「企画チケット」を提案させていただきました。試合チケットとライオンズオリジナルデザインを施した水筒やタンブラーをセットで販売し、ペットボトルごみの削減につなげるという企画です。

    桑原 球団としても魅力的な企画ですので、すぐに話が進みました。2021年からは「企画チケット」を年に2回のペースで実施しています。

    神林 ライオンズさんのロゴを加えたオリジナルデザインのタンブラーや水筒なので、ものすごく好評です。おかげさまで毎回完売となっています。

    桑原 ライオンズの本拠地「ベルーナドーム」は半屋外で気候の影響を受けやすいので、水分補給に活用していただきたいという意図もあります。

    神林 暑いときに冷たい飲み物、寒いときに温かい飲み物を口にすると観戦体験がより快適になりますよね。弊社の商品が少しでも役立てたらうれしいです。

    桑原 ちなみに「THERMOS ステンレスカウンター」は球場内メインコンコースエリアにあるので風がすごく通りやすいんですよ。すぐ横にミストポールも設置されており、夏場でも涼しく観戦できます。また、ほかにもテーブルが付いている席があるんですが、5名用などグループ向けが主流なんですね。一方、「THERMOS ステンレスカウンター」は1人で購入できる。年々この立見席のファンが増えて、今では「取りたくてもなかなか取れない席」になってきています。特にライオンズの応援エリアであるレフト側が人気です。

    神林 私も定期的に球場に伺っていますが、予想以上に女性の方にも利用していただけています。売店へのアクセスも抜群で、新しい観戦体験になっていると感じました。

    球場で水分補給の授業を開催

    ——協賛の次のステップとして、2023年8月25日に冠試合「サーモス エコチャレンジデー」を開催しましたね。

    桑原 マイボトルを持参した人を対象に選手サイン入りタンブラーが当たるキャンペーンを行い、ライオンズオリジナルデザインの「サーモス 真空断熱タンブラー」を持参した人を対象に「ビール飲み放題」の企画を実施しました。

    神林 私にとってはサーモスに転職して初めて手がけた大型案件でした。前職でも広報を務めていたんですが、コロナ禍入社だったこともあってリアルイベントを担当したことがなかったんですね。それがいきなり冠試合という大イベントだったので不安な部分もありました。ただ、ライオンズの皆さんに助けていただき、保健所の申請などを進めて実現できました。すごく達成感がありました。

    ——協賛を積み重ね、2025年8月10日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦当日にサーモス親子参加型「水分補給&栄養セミナー」を開催しましたね。一般的なスポンサーシップの枠組みを超えた画期的な取り組みです。

    桑原 きっかけはサーモスさんからの相談だったので、神林さんから説明をお願いします。

    神林 先ほど話したとおり、弊社はSDGsや環境への取り組みに力を入れています。最近は夏場の酷暑による熱中症が社会問題となる中、その対策の基本である小まめな水分補給の重要性がいっそう高まっています。また、水分補給時に水筒を使えばペットボトルごみ削減にもつながります。こうした背景から、熱中症対策としての水分補給の啓発と、弊社が推進するSDGs活動の発信をさらに広げていきたいと考え、ライオンズさんに「新たな取り組みを一緒にしましょう!」と相談させていただきました。

    桑原 スポーツを通して社会に貢献する「スポーツSDGs」という考え方があるんですね。ライオンズとしても2018年に「L-FRIENDS」を立ち上げ、野球振興・こども支援・地域活性・環境支援の4つを柱として持続可能な社会の実現に向けてさまざまな取り組みを行ってきましたので、サーモスさんから相談を受け、ぜひやりたいと考えました。

    神林 実はすでに弊社は別の協賛先企業と連携し、参加型教室を実施した実績があるんです。まず2023年11月12日に川崎フロンターレさんのホーム試合で「親子で学ぶ栄養とスープジャー講座」を開催しました。川崎フロンターレさんの管理栄養士の方による食育講座を受け、「真空断熱スープジャー」に入れたスープを食べながら試合を観戦するという企画です。そしてアルバルク東京さんとともに、2024年12月17日は東京都新宿区の花園小学校、2025年2月6日は豊島区の要小学校の体育の授業内で「バスケとSDGs教室」を開催しました。アルバルク東京さんのアカデミーコーチの方がレクチャーやミニゲームを行い、弊社の社員がSDGsの取り組みを伝えました。

    桑原 それらの活動がすごく参考になったんですよね。川崎フロンターレさんとアルバルク東京さんが開催した教室の実施事例を活かし、サーモス親子参加型「水分補給&栄養セミナー」が生まれました。

    ——セミナーでは甲斐野 央選手(※1)がサプライズ登場して記念撮影を行い、神林さんによるSDGsの授業とライオンズの管理栄養士である帝京大学スポーツ医科学センター・藤井 瑞恵先生が授業を行いました。2つの授業の間にはサーモスの商品や選手サイン色紙が当たる抽選会も行われましたね。合計125人の親子が参加したということですが、実現する上でどんな苦労がありましたか?

    桑原 まず、出演してもらう選手の調整が必要でした。 セミナーの開催時間が、ちょうど選手たちが練習している時間帯だったからです。そこで候補になったのが中継ぎを担当する投手です。先発投手や野手に比べて時間の調整ができるので 、監督や選手会の許可を取った上で甲斐野選手にお願いしたところ、快諾してもらえました。

    神林 子どもたちがものすごく喜んでくれましたし、保護者の方からも大きな歓声が上がっていましたよね。実は選手の登場をリクエストしたのは私なんです。大人でも堅苦しい授業を1時間受けたら飽きてしまうじゃないですか。SDGsという大切なテーマをつまらない思い出にしたくなかったんです。「来て良かった」と思っていただけるように、印象深い出来事を増やしたかったので無理をお願いしてしまいました。桑原さん、選手を呼んでいただいて本当にありがとうございます(笑)。

    桑原 いえいえ、すべて甲斐野選手のおかげです。あとは場所の選定が簡単ではありませんでした。100人規模を収容できるスペースとして、球場敷地内のレストラン「グリーンフォレスト デリ&カフェ」や球場に隣接する室内練習場「ライオンズ トレーニングセンター」を考えたのですが、せっかく多くのお客さまにお越しいただいたので、特別感のあるエリアで実施したいと思い、選手・関係者エリアにある建物で実施しました。選手が使う駐車場がすぐ近くにありましたので、 車好きのお父さんたちが興味津々で見ていました。

    子どもたちを飽きさせないこだわり

    ——実際のセミナーでは何にこだわりましたか?

    神林 子どもたちを飽きさせないために、授業をクイズ形式にしました。例えば弊社ではSDGsの活動として、使用済みステンレス製水筒の回収をしています。回収対象はステンレス製魔法びんのみで、プラスチックやガラス製などは対象外になりますので「この素材は回収ボックスに入れられる? イエス or ノー」という感じでクイズを出しました。また、SDGsに関する穴埋め問題を配り、最後に答えを発表して解答用紙を持ち帰っていただきました。ある保護者の方から「これを自由研究に使っていいですか?」と言っていただけたのがうれしかったです。

    桑原 そういえば、管理栄養士の藤井先生もクイズを取り入れていましたよね。藤井先生の授業内容としては、「体内の水分が2%低下するとパフォーマンスが低下する」といったことを紹介していました。3%低下で体調不良、5%低下で頭痛、8~10%低下でけいれんが起こるそうです。のどの渇きを感じる前に小まめに水分を摂ることが重要です。

    神林 子どもたちだけでなく、大人にとっても役立つ内容でしたよね。

    ——新しい取り組みをしてどんな反響がありましたか?

    桑原 多くのメディアに関心を持っていただきました。テレビ埼玉のライオンズ応援番組「LIONS CHANNEL」では、セミナーの様子が放送されました。また、今回セミナーに参加した子どもたちは球団が運営する野球スクールの 「ライオンズベースボールアカデミー」から募集したんですね。アカデミーの価値を高めるイベントになったので、運営する部署から「こういうイベントをどんどんやってほしい」と言われています。

    神林 セミナーでアンケートを取ったところ、参加した保護者の方からすごく高い評価をいただきました。社内でSDGsの情報発信の大切さを再認識する機会になり、2026年から「SDGsの啓発活動をする」ことが部署のSDGs活動の取り組み目標の1つに加わりました。

    ——今後どんな活動をしていきたいですか?

    桑原 ネーミングライツを超えた取り組みをできたので、ほかの企業も含めて、新しいスポンサーシップのアクティベーションをもっと提案できるようになりたいです。

    神林 野球を通して地域の人たちと交流する機会をさらに増やしていきたいです。あとはやはり一番の目的である球場内のごみ削減ですね。そこに寄与できる施策をしてきたいです。

     

    (※1)甲斐野 央(かいの・ひろし):埼玉西武ライオンズの右腕。剛速球とフォークを武器とするセットアッパーとして活躍し、2025年には16試合連続ホールドポイントの球団新記録を樹立した。

    持続可能な社会のために球場でできること

    埼玉西武ライオンズとサーモス株式会社のパートナーシップが始まったのは2021年のこと。サーモスが球場内メインコンコースエリア の立見席の命名権を取得し、「THERMOS ステンレスカウンター」が誕生した。また、ペットボトルごみの削減に力を入れているサーモスの提案により、試合チケットとライオンズオリジナルデザインが施された同社のタンブラーや水筒をセットにした企画チケットを年に2回のペースで販売。ライオンズのロゴが入ったデザインが人気を博している。さらにSDGsの一環として、2025年8月10日にサーモス親子参加型「水分補給&栄養セミナー」を開催。持続可能な社会の実現のために、球団と企業が力を合わせている。

    サーモス株式会社は不要になったステンレス製魔法びんの「ボトル」や「タンブラー」の回収を行っている。

    セミナー前にベルーナドーム内で練習見学会を実施。バッティング練習など、選手たちの動きを間近に感じられる機会に、子どもたちも興味津々。

    2025年8月10日、東北楽天ゴールデンイーグルス戦当日にサーモス親子参加型「水分補給&栄養セミナー」を開催。125人の親子が参加した。

    サーモス株式会社の神林 由香さんがSDGsの授業を担当。製品のリサイクルによってごみを減らして資源を守る「サーキュラーエコノミー」の活動などを紹介した。

    セミナーでは甲斐野選手がサプライズ登場。参加者と記念撮影を行った。
    また、サーモス株式会社より参加者全員に埼玉西武ライオンズの夏季限定ユニフォームと、当日の試合観戦チケットをプレゼント。

     

    interview & text:木崎伸也
    photo:松本昇大

    ※人物の所属および掲載内容は取材当時のものです。

    Job information by doda

    お仕事情報

    Recruit

    スポーツ関連のピックアップ求人

    求人一覧を見る