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九州を新しい舞台に、女子野球のプロリーグを開催できるような未来へ│パ・リーグ球団 仕事図鑑2026 – BEYOND THE SPONSORSHIP

福岡ソフトバンクホークス株式会社 × 株式会社三井住友銀行

球団×スポンサー企業 プロジェクト担当者 特別対談

プロ野球に欠かすことのできないスポンサー企業。最近では、企業ロゴの掲出にとどまらない、球団とスポンサー企業双方の共通の思いをカタチにした取り組みが増えているという。その舞台裏を担当者に聞いた。

Index

    「スポンサーの枠を超え、女子野球で地域と社会を元気に支えたい」

    原田 真理子(はらだ・まりこ)さん
    株式会社三井住友銀行
    本店営業第九部

    三井住友銀行(SMBC)は、日本を代表するメガバンクとして企業や地域社会の成長を金融面から支えている。法人営業では企業の事業戦略や社会への価値創出を見据え、資金支援にとどまらないパートナーとして伴走。日本シリーズの冠スポンサーや女子バスケットボールチーム、『SMBC TOKYO SOLUA』の運営など、スポーツ振興にも取り組んでいる。

    「九州を新しい舞台に、女子野球のプロリーグを開催できるような未来へ」

    田中 茉結(たなか・まゆ)さん
    福岡ソフトバンクホークス株式会社
    事業統括本部 野球事業推進本部
    スポーツ振興部

    野球スクールや球団主催大会の企画・運営を担当する田中 茉結さん。地域の子どもたちが野球に触れる機会をつくり、競技の普及と次世代育成に取り組んでいる。大学時代は日本体育大学女子軟式野球部に所属。卒業後は新卒で株式会社読売巨人軍に入社し、ジャイアンツアカデミー(幼児から中学生を対象に野球を教える組織)のコーチとして活動。現在は女子野球大会『福岡ソフトバンクホークス クイーンズカップ(以下、クイーンズカップ)』の運営にも携わり、野球の魅力を広げている。

     

    (2025 福岡ソフトバンクホークス クイーンズカップ supported by SMBC 優勝チーム監督)
    宮地 克彦(みやじ・かつひこ)さん
    九州ハニーズ監督

    ——まずは自己紹介をお願いします。

    田中 福岡ソフトバンクホークス株式会社の田中 茉結と申します。スポーツ振興部に所属し、野球スクールや球団主催大会の運営に携わっています。経歴としては、大学で日本体育大学女子軟式野球部に所属していました。大学卒業後に新卒で株式会社読売巨人軍に入社し、幼児から小学生を対象にしたジャイアンツアカデミーでコーチをやっていました。

    原田 株式会社三井住友銀行の原田 真理子と申します。入社してからずっと法人営業に携わってきました。2023年8月に本店営業第九部に着任し、通信・IT業界のお客さまを担当しています。職場は東京です。大学までクラシック音楽をやっていました。

    宮地 女子硬式野球クラブチーム、九州ハニーズの監督兼代表を務めている宮地 克彦です。私自身は高校3年時に西武ライオンズからドラフトで指名され入団し、その後福岡ダイエーホークスへ移籍するなどして計18年間の選手生活を送りました。引退後は福岡ソフトバンクホークスと西武ライオンズで計9年間指導させていただきました。そして2017年に独立リーグの栃木ゴールデンブレーブスが発足してヘッドコーチになり、3年目にブレーブスの親会社である株式会社エイジェックが女子硬式野球部を立ち上げることになってGMを任されました。それが私の女子野球との出会いです。そこから女子野球の魅力に引き込まれ、2022年に九州ハニーズを立ち上げて現在に至ります。

    田中 宮地さんには、元プロ野球選手が幼児から中学生に野球を教えるホークスジュニアアカデミーでも指導していただき、普段からお世話になっています。

    ——ホークスは2019年から女子硬式野球の大会を開催しており、2024年からはクイーンズカップとして開催しています。田中さんは運営者、原田さんは協賛者、宮地監督は出場者として携わっていますね。

    田中 ホークスは「福岡ソフトバンクホークス ホークスカップ(以下、ホークスカップ)」という九州・沖縄・山口地区の男子中学硬式野球チームが出場する大会を約20年前から開催しているんですね。「福岡ソフトバンクホークス旗争奪 中学生軟式野球大会」という福岡市内の中学軟式野球チームが出場する大会も開催しています。一方、女子野球の大会は開催してきませんでした。そこで女子野球の振興・普及を目指して、九州の女子野球No.1を決めるクイーンズカップ(旧・クイーンズトーナメント)を2019年に始めたんです。まだ私がホークスに入る前の話です。

    原田 田中さんの前任の方が、女子野球の魅力を伝えたいという強い思いを持っておられたんですよね?

    田中 はい。前任者は他球団で女子野球チームを立ち上げた経験があり、ホークスでも何かできないかと考えていたそうです。

    原田 先ほど田中さんに触れていただいた通り、我々は以前から、ホークスカップに協賛してきました。そのお付き合いの中で2023年のクイーンズカップを観戦させていただき、当時の部長や担当者が「女子野球はこんなにもレベルが高く、魅力があるのか!」と心を動かされたんです。そこから女子野球をもっと応援しようとなり、2024年からクイーンズカップへの協賛を強化することになりました。

    宮地 私が2022年に九州ハニーズを立ち上げたとき、まだ女子野球の九州リーグはなかったんですね。今でこそ九州リーグが設立されましたが、先駆けて女子野球チームが対戦できる場となったクイーンズカップには計り知れない価値があります。2025年大会決勝はみずほPayPayドーム福岡で開催され、おかげさまで九州ハニーズが優勝できました。

    田中 選手たちの反応はどうでしたか?

    宮地 試合前はめちゃくちゃ緊張してガチガチでしたね(笑)。やっぱりドームで試合ができるのは特別ですからね。ただ、試合が始まったら目をキラキラさせて「すごく楽しい。もっとこういう舞台でやりたい」と言っていましたよ。

    女子野球の競技人口が急増

    ——2024年のクイーンズカップは神村学園高等部の優勝で幕を閉じ、さらにその3週間後に「福岡ソフトバンクホークス クイーンズカップ チャレンジマッチ supported by SMBC」を開催しました。「読売ジャイアンツ女子チーム」を招いて、優勝した神村学園高等部と九州ハニーズが対戦するという特別企画です。

    田中 九州の女子野球にとって画期的な取り組みでした。遠方からチームを招待するには、選手やスタッフの飛行機代、宿泊費、荷物輸送費など大きな金額がかかります。三井住友銀行さんに協賛していただいたおかげで実現することができました。

    原田 私個人にとっても思い出深い取り組みになりました。私がホークスさんを担当させていただいたのは、2023年のクイーンズカップ以降だったので、女子野球の試合を球場で観るのはこの決勝戦が初めてだったんですね。選手たちが思いっきりプレーをして笑顔になっている姿を見て、携われて良かったと心から思いました。

    田中 決勝で負けたチームの選手も悔しそうにしながらも、充実した表情をしていました。私も選手たちの笑顔を見ると「クイーンズカップをやって良かった!」と思います。

    原田 三井住友銀行として地域を活性化し、スポーツを盛り上げれば日本も元気になるという思いがあり、スポーツに力を入れています。その一環として日本シリーズの冠スポンサーを2014年から務めさせていただいています。また、女子バスケットボールチーム、「SMBC TOKYO SOLUA」を運営しています。選手たちは銀行員としてはたらいており、プレーと仕事を両立してすごいんですよ。試合でも職場でも輝いています。

    宮地 九州ハニーズの選手たちも、それぞれ職場ではたらきながらプレーしています。彼女たちの頑張りには頭が下がりますよ。

    原田 従来、一般的にスポンサーは広告を出して終わりという形が主流だったと思います。そういう形ではなく、我々はホークスさんと思いを共有して一緒にクイーンズカップを盛り上げていきたいと考えています。「どうやったら女子野球をさらに知っていただけるか。そのためにはプレーに触れる機会がもっと必要なのでは」という感じでディスカッションを重ねています。

    田中 対面だけでなく、オンラインや電話でも頻繁にやりとりしていますよね。

    原田 実はこういう携わり方は、普段の営業の仕事も同じなんです。法人にお金を貸すだけではなく、企業がどういったところを目指すのか、お金を使ってどう社会に影響を与えていくのか、といったことをお話ししながらサポートしています。クイーンズカップの関わり方と共通点があります。

    ——日本で女子野球の競技人口が急速に増えているそうですね。ここ5年で約4割増えたとか。

    宮地 女子の場合、これまでは圧倒的にソフトボールのほうがメジャーだったんですね。女子野球ワールドカップがおよそ2年に1度のペースで開催されているんですが、日本は7連覇中です。にもかかわらず、あまり知られていないじゃないですか。しかし、2021年に転機が訪れます。全国高校女子硬式野球の夏の選手権大会決勝が甲子園球場で開催されるようになったんです。

    田中 甲子園開催はめちゃくちゃ大きかったですよね。私は中学のときにソフトボール部だったのですが、高校にソフトボール部がなく、バスケットボール部に入りました。もし高校のときに甲子園という聖地があったら、女子野球ができる高校を探していたかもしれません。ちなみに2025年から全日本大学女子硬式野球選手権大会の決勝が明治神宮野球場で開催されるようになりました。

    宮地 そしてもう1つの転機が、2020年の「埼玉西武ライオンズ・レディース」の発足です。プロ野球の球団が女子チームを立ち上げるには、12球団のオーナーとコミッショナーの了承が必要なんですね。ライオンズがそのハードルを乗り越えたことで、他球団も追随し始めます。2021年に「阪神タイガース Women」、2022年に「読売ジャイアンツ女子チーム」が創設されました。現在12球団中3球団が女子チームを持っています。女子選手がプロ野球ファンにおなじみのユニフォームを着てプレーできるのは画期的なことでした。

    田中 「読売ジャイアンツ女子チーム」では、数人がジャイアンツアカデミーでコーチをしながら野球をプレーしています。球団外ではたらいている選手もいますが、女子野球界もだんだん環境が整備されてきましたよね。

    宮地 最近、全国の高校で女子硬式野球部が増えています。ソフトボール部から女子硬式野球部に切り替える学校もあるくらいですよ。ソフトボールと硬式野球を両方やる二刀流の部活もあります。僕の母校・尽誠学園高校にも2025年に女子硬式野球部ができました。香川県では初です。募集をかけたところ2025年に1年生が21人入りました。2026年も約20人入ります。全国屈指の強さを誇る神戸弘陵学園高校女子硬式野球部は、部員が100人規模。寮が3つもあるそうです。

    ——女子野球の盛り上がりは国内にとどまらず、2026年に米国女子プロ野球リーグが創設されましたね。前年にドラフトが行われ、日本からも10人の選手が指名されました。どう見ていますか?

    宮地 選手であれば、誰しも上のレベルでやりたい気持ちがあると思います。現在日本には、残念ながら女子野球のプロリーグがありません。アメリカで新リーグが始まることによって、日本でもプロリーグをつくる機運が高まるはずです。

    田中 目指すべき場所が増えたのは、女子野球界にとってものすごくプラスです。個人的な思いになりますが、プロ野球全12球団が女子野球チームを持ってプロリーグが開催されたらいいなと思っています。

    女子野球の好循環を支えたい

    ——こうやって女子野球の熱気が高まっている中、将来的にクイーンズカップをどう発展させていきたいですか?

    原田 やはりさらにより多くの方に知っていただきたいですよね。

    田中 まさに認知度アップが最大の課題です。2024年は「読売ジャイアンツ女子チーム」に来ていただいて、大会の価値を上げることができました。ただ、そのジャイアンツ戦でも観客数は300人から400人だったんですね。ホークスのペナントレースのデーゲーム終了後に開催したんですが、想像以上に残っていただけませんでした。どうしたらより多くの方に関心を持っていただけるかを原田さんたちと話し合い、ホークスOBの力を借りることになりました。ホークスのデーゲーム終了後、まず松田 宣浩氏(※1)らホークスOBチームと女子野球選抜チームの試合を行い、続いてクイーンズカップ決勝の九州ハニーズ対折尾愛真高校を開催するという流れにしたんです。

    原田 ホークスOB対女子野球選抜の試合は約3,000人の方に観戦していただけました。

    田中 続く決勝戦も、2、3回まではその半分くらいの方が残ってくれました。

    宮地 確実にクイーンズカップの観客数が増えているのは素晴らしいことです。ただ、私はさらに上を目指したいです。「読売ジャイアンツ女子チーム」対「阪神タイガース Women」が毎年1試合ずつ東京ドームと甲子園で開催されるんですが、5,000人規模のお客さんが入るんですね。イチロー氏(※2)が率いる「KOBE CHIBEN」が高校野球女子選抜と対戦する試合も話題です。2025年は松坂 大輔氏(※3)だけでなく松井 秀喜氏(※4)も参加して約2万人を動員しました。関東と関西に負けていられません。

    田中 ホークスには孫 正義オーナーの「めざせ、世界一」というスローガンがありますもんね。

    宮地 クイーンズカップを全国一の大会にして、女子野球を引っ張っていきましょう!

    原田 女子野球の好循環を生み出すお手伝いをできたらいいなと思っています。取り組みが積み重なって、近い将来女子野球がさらに注目されていたら、担当させていただいている私としてもすごくうれしいです。

     

    (※1)松田 宣浩(まつだ・のぶひろ):1983年5月17日生、滋賀県出身。2006年福岡ソフトバンクホークスに入団。強打の三塁手として長年チームを牽引し、ベストナインや複数回のゴールデングラブ賞を受賞。現在は野球解説者として活動するほか、2026年WBCでは侍ジャパンのコーチを務める。

    (※2)イチロー:1973年10月22日生、愛知県出身。1992年オリックス・ブルーウェーブに入団。2001年にシアトル・マリナーズへ移籍し、MLB新人王とMVPを同時受賞。日米通算4,367安打を記録し、2019年に現役引退。現在はマリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターとして球団に関わる。

    (※3)松坂 大輔(まつざか・だいすけ):1980年9月13日生、東京都出身。1999年西武ライオンズに入団。2007年にボストン・レッドソックスへ移籍し、ワールドシリーズ制覇に貢献。日米で活躍し、2021年に現役引退。現在は野球解説者として活動するほか、野球振興にも携わる。

    (※4)松井 秀喜(まつい・ひでき):1974年6月12日、石川県出身。1993年読売ジャイアンツに入団。2003年にニューヨーク・ヤンキースへ移籍し、2009年ワールドシリーズでMVPを獲得。日米で長く活躍し、2012年に現役引退。現在はヤンキースGM特別アドバイザーとして球団に関わる。

    ホークスと三井住友銀行が描く女子野球の未来

    福岡ソフトバンクホークスは、野球を通じた健全育成に寄与することを目的に、2019年より女子硬式野球チームの大会を開催。2021年からは三井住友銀行の協賛の下、さらなる女子野球の振興・普及を目指している。昨年は「2025 福岡ソフトバンクホークス クイーンズカップ supported by SMBC」として開催され、九州・沖縄の高校からクラブチームまでの女子硬式野球チームが女子野球の技術の交流の場として、また同地区の女子野球No.1を決める場となった。

    2025年のクイーンズカップは、九州ハニーズが決勝で折尾愛真高校に勝って優勝を果たした。

    三井住友銀行の兵頭 美貴子常務執行役員が、2025年のクイーンズカップ決勝で始球式を務めた。

    ホークスジュニアアカデミーがベースボールスクールを運営。元プロ野球選手・ホークスOBを中心としたアカデミーコーチが指導。女子選手も多く通っており、クイーンズカップでもホークスジュニアアカデミー出身の選手が活躍している。

    2024年はクイーンズカップに加え、「クイーンズカップ チャレンジマッチ supported by SMBC」を2日間にわたって開催。「読売ジャイアンツ女子チーム」を招き、1日目にクイーンズカップで優勝した神村学園高等部と、2日目に九州ハニーズとの試合が開催された。

    interview & text:木崎伸也
    photo:松本昇大

    ※人物の所属および掲載内容は取材当時のものです。

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