「大人は無理だと思っていた」本田圭佑が覆す常識。 企業対抗リーグ『CORPORATE LEAGUE』が描く、組織とビジネスの未来図
CORPORATE LEAGUE 構想発表会レポート
2025年12月25日、都内にて“ビジネスとスポーツの新たな融合”を目指す共同事業発表会見が行われた。Now Do株式会社、株式会社運動通信社、パーソルイノベーション株式会社の3社が立ち上げたのは、企業対抗スポーツリーグ「CORPORATE LEAGUE(コーポレートリーグ)」だ。
「スポーツが企業を動かし、企業をつなぐ」 このビジョンのもと集結したのは、Now Do代表の本田圭佑氏、副社長の鈴木良介氏、運動通信社代表の若村祐介氏、そしてパーソルイノベーション代表の大浦征也氏。
単なる社内運動会の延長ではない。人的資本経営やウェルビーイングといった経営課題に直結するソリューションとして設計された本プロジェクト。その全貌と、発起人である本田圭佑氏が語った「熱狂の先にある未来」をレポートする。
Index
本田圭佑氏が仕掛ける企業対抗リーグ「CORPORATE LEAGUE」が始動
「幸福度数パーセント」の日本を変える。スポーツが持つ3つの価値
会見の冒頭、パーソルイノベーションの大浦氏は、日本のビジネスパーソンが抱える深刻な課題について触れた。「昨今、ウェルビーイングや人的資本経営が叫ばれていますが、日本で『働きがいを感じている』社員は数パーセントしかいないというデータもあります」
コロナ禍を経て加速したコミュニケーション不足や帰属意識の低下。これらを解決する手段として、なぜ今「スポーツ」なのか。大浦氏は慶應義塾大学との共同研究結果を引用し、「はたらく幸福度」を高める因子とスポーツの高い親和性を指摘した。
「スポーツは人を育て、組織を動かし、企業をつなぐ可能性がある」 この仮説を社会実装するための仕組みが「CORPORATE LEAGUE」だ。運動通信社の若村氏は、同リーグが提供する価値として、「社内コミュニケーションの爆発的活性化」「企業同士のリアルなつながり」、そして「はたらく一人ひとりの活力向上」を挙げた。
「企業の熱量を可視化する」とメディアの役割を語る運動通信社・若村氏(中央)。左はNow Do鈴木氏、右はパーソルイノベーション大浦氏[写真]運動通信社
本田圭佑が語る発足の裏側。「激しすぎて無理だと思った」
リーグの第一弾競技として採用されたのは、本田氏が考案した4人制サッカー「4v4(フォー・ブイ・フォー)」だ。
この競技はもともと、小学生を対象とした育成年代向けのスポーツとして2023年に立ち上がったものだ。「監督不在」「20秒以内のシュート義務」といった独自ルールにより、子どもたちの判断力や主体性を養う場として、すでに全国で2万人以上の選手登録を集める一大ムーブメントとなっている。
そんな“子どもたちのため”に設計された、スピーディーかつ運動量の激しいこの競技を、あえて大人の、しかも企業の戦いに持ち込む。 トークセッションに登壇した本田氏は、この構想を聞いた当初の正直な心境を吐露した。
「最初は『大人は無理だ』と思っていたんです。4v4は激しすぎて、去年のレジェンドマッチでも内田篤人が吐きそうになっていたくらいなので」
会場の笑いを誘いつつも、本田氏は真剣な表情で続ける。「ただ、諦めきれない声もありました。企業にとって必要な『ネットワーキング』や『採用の接点』、そして『オープンイノベーション』に役立つ形であれば成立するのではないかと」
本田氏が着目したのは、AI時代の到来による「働くこと」の意味の変容だ。「今後、AIの発展で人の働く時間は減っていく可能性がある。それでも人はどこかのコミュニティに帰属し、体を動かしたいと思うはずです」
どんなにテクノロジーが進化しても、人が集まり、熱狂する場所は必要になる。このリーグは、未来のビジネスパーソンにとっての重要な「居場所」になると本田氏は予見しているのだ。
「大人は無理だと思っていた」と当初の心境を吐露する本田氏。しかし、企業課題への解決策になると確信し参画を決意した[写真]運動通信社
エンゲージメントを高める「自律型」の仕掛け
質疑応答では、ビジネス視点での鋭い質問が飛んだ。「4v4はエンゲージメント向上にどう効くのか?」という問いに対し、本田氏は子どもたちの変化を例に挙げた。
「4v4は『監督がいない』ことで、自分たちで考え、コミュニケーションが増えたというフィードバックを多数得ています。大人でも同様の効果を期待しています」
上司の指示を待つのではなく、自分たちで戦略を立て、瞬時に判断する。このプロセスは、現代のビジネスに求められる「自律型人材」の育成そのものだ。
さらに今後の展望について問われると、本田氏の構想はサッカーの枠を超えて広がった。「個人的には、次は『駅伝』とかいいんじゃないかなと。チーム戦ですし、健康にコミットしないと結果が出ない。僕も出たいから作ろうかな、くらいの感じです」
将来的にはグローバル展開も見据え、「世界がナショナリズム化に向かう中で、企業対抗スポーツを通じて国境を越えて仲良くやる」というポテンシャルにも言及した。
「次は駅伝もいいかも。僕も出たいから」と構想を語り、会場を沸かせる場面も。2026年の本格始動に向け意欲を見せた[写真]運動通信社
2026年、企業の「本気」が試される
本リーグは、2026年1月から3月にかけてKDDI、AbemaTV、トヨタ自動車などの参画企業によるPoC(実証実験)を経て、2026年度に本格始動する予定だ。
「面白いものには参加したい。4v4だと僕が優勝してしまうし、駅伝だと勝てる気がしないので面白い」
そう語る本田圭佑氏の言葉には、ビジネスもスポーツも「本気で楽しむ」ことへの原点回帰が含まれているように思える。 企業の看板を背負い、役職を脱ぎ捨ててフィールドに立つ。その熱狂が、日本の組織とビジネスをアップデートしていく日は近い。
2025年12月25日、新たな挑戦に向けガッツポーズを見せる登壇者たち。「CORPORATE LEAGUE」は2026年度に公式開幕を迎える[写真]運動通信社
text:dodaSPORTS編集部
photo:運動通信社
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