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中学生から思い続けた場内アナウンサーという専門職│パ・リーグ球団 仕事図鑑2025 – “六人六色” のキャリアジャーニー

南谷 彩佳さん

株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント 事業本部 コンシューマー統括部 マーケティング部 プロデュースグループ

学生時代から場内アナウンサーに憧れ、その道を探り続けた南谷さん。関西の独立リーグで試合デビューを果たしたもののリーグが終了し、別の活動をしながら再起を図る。3年越しで掴んだ北海道日本ハムファイターズの仕事。

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    南谷 彩佳さん

    株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント
    事業本部 コンシューマー統括部 マーケティング部 プロデュースグループ

    前職:商業施設業界

    甲子園に魅了されて野球好きに

     実現方法はわからないけれど、憧れの仕事に向かってまっすぐに進み続ける。私はそんな野球少女のひとりでした。

     最初に場内アナウンサーに興味を持ったのは中学時代です。自宅が大阪で甲子園が近く、高校野球に魅了されました。ダルビッシュ有選手(※1)が東北高校のエースとして大活躍していた時代です。「野球っていいな。将来仕事にしたいな」と考えるようになり、「場内アナウンサーだ!」と思い立った次第です。

     ひとつ問題だったのはどうしたら場内アナウンサーになれるのか、見当もつかなかったことです。とりあえず野球に関わろうと思い、高校で野球部のマネージャーになりました。おかげでスコアのつけ方を覚えました。試合中はベンチでスコアをつけながら「1番、バッター、○○」という感じでアナウンスの練習をしていましたよ(笑)。

     高校卒業後は、スポーツトレーナーの専門学校に進みました。野球コースがあり、野球の普及に携わる仕事が就職例として書かれていたからです。専門学校が社会人野球のチームを持っており、私は学業の傍らマネージャーもやらせてもらえることになりました。

     そんなある日、専門学校のグラウンドで放送設備を見つけたんです。監督に「練習試合でアナウンスをさせてもらえませんか?」と直訴したところ、快くOKしてくれました。マニュアルがない状態でしたが、甲子園のアナウンスを参考に挑戦。たくさんの人から「良かったよ」と言ってもらい、場内アナウンサーへの思いがさらに強くなりました。

    独立リーグで場内アナウンサーデビュー

     ただ、いくらアマチュアで業務をかじったところで、やはり場内アナウンサーになれるのかわかりませんでした。先生に聞いても「そんな募集はないよ」の一言。プロ野球12球団における場内アナウンサーの座席は限られており、なかなか新規の募集がないのです。今でこそ事情がわかりますが、当時は途方に暮れていました。

     そういうなかで私がラッキーだったのは、関西で独立リーグが発足したことです。接骨院がオーナーをしているチームから「接骨院ではたらきながら場内アナウンスをやらないか」と声をかけてもらえたんです。ついに公式戦で場内アナウンサーデビューをするチャンスを得ました。

     当時はまだ独立リーグの経営が安定しておらず、残念ながら、わずか半年で挑戦は終わってしまったのですが、「やっぱり場内アナウンスって素敵な仕事だ!」と確信することができました。

     次のチャンスは3年後に訪れます。ショッピングセンターのインフォメーションカウンターではたらきながら求人を探し続けたところ、北海道日本ハムファイターズが場内アナウンサーを募集しているのを見つけたんです。

     必要書類とボイスメモを提出したところ一次面接を通過し、最終面接に進みました。候補は5人。最終テストは当時の札幌ドームのアナウンスブースに座り、原稿を読むというものでした。私はもともと緊張しやすいタイプで、このときもすごく緊張したことを鮮明に覚えています。ただ、憧れ続けたプロ野球のブースにいるという喜びが上回り、心から楽しんでアナウンスすることができたんです。

     後日、電話で採用の連絡をいただきました。理由を聞くと「1人だけすごく楽しそうだったから」。10年分の思いが伝わったのかもしれません。2015年、沖縄キャンプのオープン戦で実践経験を積み、そのままシーズンに入って札幌ドームで場内アナウンスを担当することになりました。そして今に至ります。スタジアムDJがファイターズの選手紹介を行い、私はビジターチームの選手を読み上げています。

    思いを込めた最後のスタメン発表

     他球団がどうかはわからないのですが、ファイターズでは場内アナウンサーがほかの業務も担当します。私は入社当初、試合運営や総務を兼務しており、球団に配達された荷物を選手に届けるといった仕事もありました。監督や選手たちは気さくな方たちばかりで、すごく仕事がしやすかったです。現在は試合演出の仕事を兼務しています。

     担当した試合で思い出深いのは、ファイターズが日本一になった2016年の日本シリーズです。ファイターズの話ではなく恐縮ですが、第3戦は引退を表明していた広島カープ・黒田博樹氏(※2)の最終登板になりました。気持ちを込めてスタメン発表を読み上げました。

     ここ数年、アナウンス講習会にも力を入れています。通常、高校生の大会では野球部のマネージャーが場内アナウンスを務めます。ありがたいことに指導依頼が増えており、少しでも野球少女たちの道しるべになればと思っています。

     

    (※1)ダルビッシュ有(だるびっしゅ・ゆう):1986年8月16日、大阪府出身。2005年北海道日本ハムファイターズにドラフト1位で入団。2012年1月にテキサス・レンジャーズへ移籍。現在はサンディエゴ・パドレス所属。

    (※2)黒田博樹(くろだ・ひろき):1975年2月10日、大阪府出身。1997年に広島東洋カープにドラフト2位で入団。投手としてロサンゼルス・ドジャース、ニューヨーク・ヤンキースでも活躍し、2015年に広島に復帰して翌年引退。背番号15は広島球団史上3人目の永久欠番となった。

    MY OWN CAREER JOURNEY

    interview & text:木崎伸也
    photo:松本昇大

    ※人物の所属および掲載内容は取材当時のものです。

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