Uターン転職で一番喜んでくれたのは両親です│パ・リーグ球団 仕事図鑑2025 – “六人六色” のキャリアジャーニー
澁谷 知世さん
株式会社楽天野球団 マーケティング本部 プロモーション部 事業広報グループ
地元仙台のホテルでキャリアをスタートさせ、カナダへの語学留学を経て、東京都内で開業前のホテルの広報・広告宣伝職へと進んだ澁谷さん。Uターン転職を考える中で、経験を活かせる東北楽天ゴールデンイーグルスの求人に出会った。
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澁谷 知世さん
株式会社楽天野球団
マーケティング本部 プロモーション部 事業広報グループ
前職:不動産業界
33歳のときにカナダ留学を決断
私の人生には大きな分岐点が3つありました。1つ目は東京への転勤、2つ目は社会人10年目にチャレンジした語学留学、そして3つ目は地元・仙台へのUターンです。
仙台出身の私は地元の大学へ進学し、就職したのも鉄道会社系列の地元ホテル。仙台から飛び出そうとは考えていませんでした。だって仙台っておいしい食事がそろっていて、都会と田舎のバランスがよく、出る理由なんてないなあと。
仕事も充実していました。最初はお客さまの荷物を運ぶベルスタッフから始まり、フロントでの接客を主に担当しました。学生時代のアルバイトの経験からサービス業に就きたいと思っていたので、お客さまの笑顔を見られる日々を心から楽しんでいました。
そんなある日、東京へ転勤することになったんです。そこで出会ったのがのちに私の専門になる広報や広告宣伝というPRの仕事でした。社会人4年目のことです。
ホテルにはレストランがあり、クリスマスディナーや年末年始イベントをインターネット広告やSNSで発信するのが主な役目です。「この仕事おもしろい!」というのが第一印象。仙台に戻ってからも、引き続きPR関係の業務を担当させてもらえました。
最も思い出深いのは、仙台のホテルで携わったレストランのリニューアルでした。コンセプトからプロジェクトメンバーで話し合い、地産地消の仙台フレンチとして打ち出しました。おかげさまで大きな反響があり、売り上げも前年比でアップしました。
ただ、こういう経験をするうちに、仙台の魅力を世界に発信したいという気持ちが芽生え始めたんです。海外からのお客さまも増えていたので、英語を勉強しようと一念発起。私は33歳のときに新卒から勤めたホテルを退社し、2020年1月にカナダへ語学留学しました。
新型コロナで緊急帰国
しかし、留学生活は思い描いた通りにはいきませんでした。新型コロナウイルスが世界的に流行し、カナダでもロックダウンが始まったのです。当然、語学学校は休校。保険は限度があるので、コロナにかかってしまったら途方もない医療費がかかってしまいます。私は留学に区切りをつけ、4月に日本に帰国しました。
急いで転職活動を開始しましたが、コロナ禍のため仙台では広報求人がほぼなく、なんとか見つけたのは、東京の不動産会社が募集していた、ホテルオープンに向けた広報および広告宣伝関係の求人でした。仙台が第一希望でしたが選んでいる余裕はありません。思わぬ形で東京生活がリスタートしました。
東京では大きなプロジェクトに携わらせてもらいました。新規オープンするホテルはショッピングモール併設の大規模なもので、両施設で統一感を持ってプロモーションを行う挑戦はものすごく刺激的でした。
それでも両親が高齢になってきたこともあり、仙台に戻りたいという気持ちが高まっていきました。ホテルの開業がひと段落すると、私は本格的にUターンを考え始めます。そんなときに目に飛び込んできたのが東北楽天ゴールデンイーグルスによる事業広報職の募集でした。
UターンでQOLが大幅に改善
私はもともと野球にあまり興味がなかったのですが、2004年にそれが激変します。そう、仙台に楽天イーグルスが誕生したんです! 大学生だった私は試合というよりも、ボールパーク、お祭りのような楽しい雰囲気に引き寄せられ、定期的に観戦に訪れるようになりました。もちろん将来その球団ではたらくなんて、そのときはまったく想像できていませんでしたが。
楽天イーグルスの求人を見たときに思ったのは、「ホテル業界と共通点が多いかもしれない」ということでした。
お客さまがプライベートで泊まるホテルに求めるのは非日常。どんな体験ができるかが大事で、テーマパークのようなものです。直感的に「それって球場でも同じかも?」と思いました。
面接が進み、社長面接を経て正式に採用が決まりました。一番喜んでくれたのは両親です。なぜなら両親は私以上の楽天イーグルスファンだからです。
私は今、広報として東北6県を飛び回っています。各県のテレビ局や新聞社に「こんな取り上げ方をしてもらえませんか?」と提案します。まだまだ読売ジャイアンツの人気が根強い県もあるんですが、定期的にニュース番組や新聞で取り上げてもらえるようになってきました。
Uターンして良かったこと? いっぱいありますがQOL(クオリティ・オブ・ライフ)が大幅に改善しました(笑)。東京時代は通勤に1時間以上かかっていて、仕事後に自宅でゆっくりする時間もほとんどありませんでしたが、今は徒歩15分! 自宅でのリラックスタイムをとても大切にしています。
MY OWN CAREER JOURNEY
interview & text:木崎伸也
photo:松本昇大
※人物の所属および掲載内容は取材当時のものです。










