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強みの英語力を活かして憧れのスポーツ業界への転職を実現│パ・リーグ球団 仕事図鑑2025 – “六人六色” のキャリアジャーニー

山口 淳史さん

オリックス野球クラブ株式会社 国際渉外コーディネーター

テキサス州ダラス生まれで幼少期をアメリカで過ごした山口さん。「いつかスポーツ業界ではたらきたい」という思いを持ち続け、IT業界から強みの英語力を最大限に活かせる「球団国際渉外部」への転職を果たした。

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    山口 淳史さん

    オリックス野球クラブ株式会社
    国際渉外コーディネーター

    前職:IT 業界

    イチロー氏の活躍、同じ日本人としての誇り

     プロ野球の球団には一般の方にあまり知られていない部署があると思います。その1つが「国際渉外部」ではないでしょうか。

     僕はオリックス・バファローズにおいて「国際渉外部」に所属し、外国人選手のサポートを行っています。この部署は、主に国際渉外担当と通訳に分かれていて、僕は国際渉外コーディネーターとして、ビザ申請、マンションや家具の手配、用具等の経理処理、航空券の手配を行っています。状況に応じて通訳業務も担います。ひと言で表せば「外国人選手のための総務」。また、MLB(メジャーリーグベースボール)スカウトの対応や外国の代理人対応もしており、オリックス・バファローズでは僕と上司の2人で国際業務を担当しています。

     僕が英語を話せるのは、ひとえに環境のおかげです。日本企業に勤める父がアメリカ支社へ転勤になり、幼少期の大半をテキサス州ダラスで過ごしたんです。ちなみに父は大阪出身で、現オリックス・バファローズの前身の1つであるオリックス・ブルーウェーブの熱心なファンでした。その影響で僕も野球に興味を持ち、ダラスで現地の少年野球チームに所属していました。アメリカは軟式野球の文化がないので、いきなり硬式野球です。チームメイトと家族ぐるみで仲良くなれたこともあり、すごく楽しかったです。

     当時、すでにMLBでたくさんの日本人選手が活躍していたのですが、僕にとって最も馴染みがあったのが当時シアトル・マリナーズに所属していたイチロー氏(※1)でした。テキサス・レンジャーズはマリナーズと同じ西地区所属で、僕もイチロー氏のプレーを何度か現地観戦したことがあります。チームメイトの保護者たちから「イチローってすごいな」と言われ、同じ日本人として僕まで誇らしくなったのを覚えています。その後、まさかイチロー氏が元々いた球団に自分が転職するとは想像していませんでしたが(笑)。

     日本に帰国してからは中学校の軟式野球部に入ったものの飛び抜けた選手ではなく、高校では野球を続けませんでした。自分の強みである英語力を磨きたいと思って大学では英文学科国際ビジネス専攻を選び、3年時にはアイオワ州の大学に1年間留学しました。

    球団の公式SNSで求人を発見

     この留学経験が人生に大きな影響を与えることになります。現地ではスポーツビジネスを専攻し、先進的なアメリカのマーケティングやスポンサーシップに触れて感銘を受けたのです。五輪やMLBの事例を参考に、自分でプロジェクトを立ち上げる授業もありました。それにより、「いつかスポーツ業界ではたらきたい」というあこがれが芽生えました。

     とはいえ、どうしたらスポーツ業界に入れるかわからず、大学卒業後、日本でIT企業に営業職で就職しました。理由としては、営業先に外資系企業があり、英語力を活かせると思ったからです。

     前職の仕事は充実していました。それでもスポーツ業界にもアンテナを張っておこうと思い、いくつかのプロ野球球団の公式X(旧Twitter)アカウントをフォローしていたんですね。するとある日、オリックス・バファローズが国際渉外部の求人情報を投稿していたんです!  ダメもとで履歴書を提出したところ選考がスタートし、英語での面談も経て採用が決まりました。入社日は2022年11月1日。オリックス・バファローズが26年ぶりの日本一になった2日後でした。球団職員たちの熱もすごく、「すごい会社に入社することができたぞ」と身が引き締まりました。

     入社後、最初に任された大きな仕事は新入団外国人選手の契約書作成でした。雛形があるとはいえ、記載されている金額に間違いがあったら大ごとです。もちろん上司によるダブルチェックはあるのですが、すごく緊張感が伴う仕事でした。契約締結が完了したら、次はビザの手配です。ミスがあったら外国人選手の来日が遅れてしまうのでこちらも大きな責任を伴う仕事です。正確性とスピードが同時に求められます。

     入団して間もないころ、思わぬところで苦労したのが「サインプレーの通訳」でした。春季キャンプ期間中、外国人選手の通訳のヘルプに入る機会があり、サインプレーの練習に立ち会いました。当然ながら通訳するには、細かいサインの意味を理解しておく必要があります。先輩通訳に特訓してもらい、数日間で頭に叩き込みました。

     NPB(日本野球機構)はMLBと比べてサインの種類が多く、複雑なだけではなく、サインプレーが多く取り入れられる傾向があります。日本人選手からも助言をもらいながら、外国人選手がスムーズに理解できるよう丁寧に伝えることを心がけ、なんとか乗り越えることができました。

    僕のメイン業務はオフィスワークなのでシーズンに入ると現場に顔を出す機会は減るのですが、病院での通訳や家族のサポートなど、外国人選手とは密接に関わっています。

     うれしいことに退団後も交流が続いている選手もいます。2024年のシーズンオフにアメリカへ個人的に旅行をしたのですが、オリックス・バファローズに2年間在籍したジェイコブ・ワゲスパック選手(※2)とマーウィン・ゴンザレス氏(※3)に会いました。ワゲスパック選手はニューオリンズの街を案内してくれました。

     現在、業務の幅を広げて新外国人選手を獲得するためのスカウティングにも携わっています。これからも外国人選手が活躍できる環境を整え、球団の発展に貢献していきたいです。

    (※1)イチロー(本名:鈴木一朗):1973年10月22日、愛知県出身。1992年オリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)にドラフト4位で入団。シアトル・マリナーズなど19年間に渡ってMLBで活躍。現在はマリナーズで会長付特別補佐兼インストラクターを務めている。

    (※2)ジェイコブ・ワゲスパック:1993年11月5日、アメリカ合衆国出身。2022年にオリックス・バファローズに入団して投手として日本一に貢献。2023年に退団し、現在はタンパベイ・レイズに所属している。

    (※3)マーウィン・ゴンザレス:1989年3月14日、ベネズエラ出身。2023年にオリックス・バファローズに入団し、内野手としてパ・リーグ3連覇に貢献。2024年もオリックス・バファローズに所属したが、そのシーズンをもって現役を引退した。

    MY OWN CAREER JOURNEY

    interview & text:木崎伸也
    photo:吉森慎之介

    ※人物の所属および掲載内容は取材当時のものです。

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