プロ野球では一日一日が勝負。毎日戦っている感覚がすごく刺激的です│パ・リーグ球団 仕事図鑑2025 – 転職“同期”対談
橋村 啓吾さん 村山 和彌さん
福岡ソフトバンクホークス株式会社
Index
「プロ野球では一日一日が勝負。毎日戦っている感覚がすごく刺激的です」
橋村 啓吾さん(写真左)
福岡ソフトバンクホークス株式会社
総務人事本部 総務部 総務課
前職:製造業界
「めざせ世界一!を掲げ、すべての仕事で一番を目指していることに感銘を受けました」
村山 和彌さん(写真右)
福岡ソフトバンクホークス株式会社
事業統括本部 営業本部 法人マーケティング室
前職:金融業界
初心者でも大丈夫
みんなで一番を目指す
———まずは現在の仕事について教えてください。
橋村 福岡ソフトバンクホークスの総務部に所属して、みずほPayPayドーム福岡の防火・防災管理や食品衛生管理を担当しています。たとえば地震を想定して、ドームではたらく人を対象にお客さまの安全を守るための訓練を行います。会社行事の対応も仕事の1つで、最近ではシーズン開幕に向けた筥崎宮での必勝祈願を担当しました。
村山 私は営業本部の法人マーケティング室に所属し、ホークスにおけるスポンサーシップの取り組みを球団Webサイトで企業の方たちに向けて発信する仕事をしています。具体的には2024年6月にスポンサー募集サイトを立ち上げ、スポンサー企業さまにどんな効果があったのかをインタビューをして記事にまとめ、スポンサーシップに関するブログ記事を定期的に配信しています。月に3〜4回ほど法人のお客さま向けにメール配信も行っています。サイト経由やメールでお問い合わせをいただいたら、営業部にバトンタッチするという流れです。
橋村 そういう営業をサポートする部署が球団にあるとは知りませんでした。ちなみに村山さんとは、ほぼ初対面ですね。
村山 そうですね。球団事務所では同じフロアですが、営業本部と総務部の席は離れているので、今回じっくり話ができるのが楽しみです
———2人とも中途入社ということですが、前職ではどんな仕事をしていましたか?
橋村 銅やニッケルといった非鉄金属を製造するメーカーに勤務していました。鉱山から掘り出した鉱石を製錬し、地金にして販売する会社です。加工して粉体や結晶など、さまざまな特性を持つ素材も販売します。あまり馴染みがないかもしれませんが、スマートフォンや電気自動車など身近な製品にも使われているんですよ。関西の大学で法律を専攻し、その非鉄金属メーカーで総務・法務関係を担当していました。まず東京で約6年はたらき、続いて工場がある愛媛で5年間はたらいていました。
村山 私は福岡県の大学を卒業してから約5年間、銀行に勤務していました。営業や預金業務を経て、企画の部署でマーケティングを担当していました。たとえば法人向けのオンライン口座管理ツールやクレジットカードのプロモーションを手掛けました。
———野球とつながりがない仕事ですが、なぜ球団への転職を思いついたのでしょうか。
橋村 たしかに非鉄金属と野球はまったく関係ないですよね(笑)。言いづらいんですが、実は私はこれまで野球に全然興味がありませんでした。転職を考えたのは生まれ育った山口県の近くで暮らしたいという気持ちが強まったからです。大学に入学して関西に出て、就職して東京で6年、愛媛で5年はたらき、随分と地元から離れていたんですね。30代になり、実家へすぐに帰れるところに移住したいと考えるようになりました。両親はまだまだ元気なのですが、近くに居たいなと。山口県だけでなく、近隣の福岡県も候補に入れたところ、転職エージェントの方からホークスの求人を勧められたことがきっかけでした。
村山 野球にそれほど興味がなかった中、すぐに転職を決断できましたか?
橋村 いや、それが最初は迷いまして。転職エージェントの方からホークスの求人を紹介されたとき、「野球に詳しくない自分でも大丈夫だろうか」と考えてしまったんです。ただ、どんな職場か知りたいと思って、みずほPayPayドーム福岡やファーム施設を訪れたんですね。そこで自分なりに感じたのは地域や社会とのかかわりの面で「球場と工場は似ている」ということ。これまで経験した総務や法務の知識を活かして施設の管理に携われると思い、応募を決意しました。その後は迷いがなくなったので、面接でもホークスの方からポジティブな反応をいただけました。まったくの別業種だったので、前職の同僚からはかなり驚かれましたよ。でも、プロ野球に詳しい後輩が心配して、転職までの期間に基礎知識や歴史など、いろいろと教えてくれました。
村山 ホークスとの偶然の出会いだったわけですね。実は私も似た経緯なんです。最初はプロ野球界ではたらくことは想像しておらず、日本全国に向けたマーケティングの仕事をしたいというのが転職の動機でした。先ほど話したように銀行でプロモーションの仕事をしていたのですが、地方銀行だったため商圏が九州に限られていたんですね。スキルを上げるために、もっと広いエリアを対象にしたマーケティングの経験も積んでみたくなりました。そこで転職活動を始めたところ、ホークスの求人に出会ったんです。私は福岡県出身で子どものときからホークスのファンだったので、素直に「面白そう!」と思いました。チャレンジするなら早い方がいいと考えて転職を決断しました。
橋村 啓吾さん│福岡ソフトバンクホークス株式会社 総務人事本部 総務部 総務課
入社1カ月でビールかけに参加
———実際に球団ではたらいてみて、感銘を受けたことや驚いたことはありますか?
村山 すべての仕事で「一番」を目指していることに感銘を受けました。私が制作しているスポンサー募集サイトでは、プロ野球の他球団、JリーグやBリーグのクラブの関係者の方々からも資料がダウンロードされています。同業者から見られていると身が引き締まりますよね。ホークスは事業のスローガンとして「めざせ世界一!」を掲げているので、自分自身も業界のトップに立つつもりでやっています。
橋村 ホークスは社員数が12球団トップクラスに多いということもあり、新しいことや面白いことをしたいと考えている人の数も多い気がします。
プロ野球に詳しい方にとってはお馴染みだと思うのですが、私がホークスで最初に驚いたのはビールかけの熱気です。2024年8月に入社したのですが、9月にホークスがパ・リーグで優勝し、入社1カ月でビールかけに運営役として参加したんですよ。
村山 それは羨ましい!
橋村 ビールかけの準備・運営は総務部の仕事でして。京セラドームでホークスのパ・リーグ優勝が決まりそうだったので同僚といっしょに現地へ入り、選手たちが勝利してくれてビールかけを開催できました。空になったビール瓶を回収して新しいものを選手に渡す役で、私もずぶぬれになりましたよ。上司から「汚れてもいい服、捨ててもいい靴を用意するように」と言われていた意味がわかりました。それでも1週間はふとした瞬間にどこからかビールの香りがするような気がしました。前職ではこういう経験はありませんでした(笑)。
———ほかに前職と比べて違うと感じる部分はありますか?
橋村 前職では鉱山や自然関係など長期的な案件に携わることも多く、契約書や資料を数十年にわたり遡って調査することもありました。一方、プロ野球では1日1日が勝負で、選手たちは1イニング1イニングに人生を賭けている。この毎日戦っている感覚がすごく刺激的です。
村山 私は仕事のスピード感に違いを感じています。前職の業務では、信頼性が特に重要視されていたので、会社の承認を得るのに1カ月近くかかることも多々ありましたが、ホークスでは2、3日でゴーサインが出る。マーケティングの施策は鮮度が大事なので、スピード感は仕事のしやすさに影響しますよね。
村山 和彌さん│福岡ソフトバンクホークス株式会社 事業統括本部 営業本部 法人マーケティング室
裁量を持って仕事ができる
———普段、試合を見る機会はありますか?
村山 はい、シーズン中は職場のテレビで毎日のように目にしていますよ。仕事の定時が18時15分なので、試合が18時に始まると職場のテレビで流れ始めるんです。点が入ると歓声があがり、すごく一体感があります。
橋村 個人的に好きなのは、球場横の複合施設「BOSS E・ZO FUKUOKA」のスクリーンで試合を見ることです。遅い時間に帰るときに7回くらいから終了まで立ったまま見るんです。中継ぎや抑えの投手、代打の選手にすごく共感を覚えるようになりました。
———最後にホークスではたらくことに興味がある方へアドバイスをお願いします。
橋村 野球に関わることが初めてという方でも大丈夫だと伝えたいです。たとえ最初は野球の知識がなかったとしても、仕事の面白さを感じられると思います。
村山 裁量を持って仕事をさせてもらえるので、チャレンジ精神がある人にすごく向いていると思っています。スキルを身につけたい人や成長したい人は、ぜひ挑戦してみてください。
interview & text:木崎伸也
photo:吉森慎之介
※人物の所属および掲載内容は取材当時のものです。










