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史上初! パ・リーグ人事座談会 – Pacific League HR Round-table Talk │パ・リーグ球団 仕事図鑑2024

パ・リーグ各球団の人事・採用担当の皆さん

パ・リーグ各球団の人事・採用担当の皆さんにお集まりいただいて、「史上初! パ・リーグ人事座談会」を行いました。人事や採用の目線から球団ではたらく面白さ、やりがい、各チームの特徴・個性…など、大いに盛り上がった座談会の内容をお届けします。

Index

     

    👇今回参加いただいた人事・採用担当の皆さん

    • 秋葉 悠(あきば・ゆう)さん

      株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント 管理統轄本部 管理統括部 総務人事部 人事企画グループ グループ長 兼 総務人事グループ

    • 鹿野 未来(かの・みく)さん

      株式会社楽天野球団 コーポレート本部 管理部 人事グループ マネージャー

    • 櫻木 優帆(さくらぎ・ゆうほ)さん

      株式会社西武ライオンズ 経営企画部 企画グループ 兼 HRグループ アシスタントマネージャー

    • 町 直也(まち・なおや)さん

      株式会社千葉ロッテマリーンズ 経営管理本部 管理部 人事労務グループ

    • 増田 由美子(ますだ・ゆみこ)さん

      オリックス野球クラブ株式会社 管理本部 総務部 総務グループ 課長

    • 小田 之敦(おだ・ひでのぶ)さん

      福岡ソフトバンクホークス株式会社 総務人事本部 人事部 人材開発課 課長

    チームの強さにつながる仕事。球団で「はたらく」魅力とは?

    ———まずは各球団ではたらく魅力を教えてください。

    マリーンズ町: 千葉ロッテマリーンズは前向きな社員が多く、ポジティブな集団であることが特徴だと思います。はたらく魅力としては「球界一」といわれるファンの熱気を身近で感じられること。特に勝ったときの球場の盛り上がりはすごいです。

    バファローズ増田: オリックス・バファローズはパ・リーグで3連覇したことも追い風になって、みんなで同じ方向を向いてはたらけていると思います。経営面でもさまざまな数字が目に見えて伸びているので、すごく勢いに乗っていますよ。

    ホークス小田: 福岡ソフトバンクホークスはプロ野球をエンターテインメントと捉えており、「常に新しいことをやろう」が合言葉。会議でも「それって前年踏襲じゃないの?」と常に問われます。球場横にBOSS E・ZO FUKUOKA(※)という商業施設があるので、プロ野球以外のエンタメに挑戦できるのも特徴だと思います。

     

    (※)「BOSS E・ZO FUKUOKA」とは、福岡ソフトバンクホークス株式会社が運営する商業施設。

     

    ファイターズ秋葉: 北海道日本ハムファイターズは大切な価値観が2つあります。まずはチャレンジスピリット。世界でまだ誰もやっていないわくわくする夢に挑戦しようということ。もう1つは爆速PDCA。トライ・アンド・エラーを繰り返してスピード感を重んじています。後は2023年に新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」ができたばかりなので、「今しかできないこと」に携われるのも魅力です。

    イーグルス鹿野: 東北楽天ゴールデンイーグルスはすぐに行動に移すエネルギッシュな社員が多くて、パッションが特徴だと思います。チーム名に「東北」を冠していることからも分かるように、東北6県の広いエリアで活動できるのも魅力になっています。

    ライオンズ櫻木: 西武ライオンズは「共に強く。共に熱く。」というスローガンを掲げていて、仕事がチームの強さにつながっているかという意識を大切にしています。一緒にチームを強くしていく感覚を味わえるのが魅力だと思います。

    ———各球団の魅力を聞いてどう思いましたか?

    ファイターズ秋葉: どの球団もチャレンジを大切にするという共通点があると感じました。

    バファローズ増田: やはり皆さん楽しんではたらいているなと。私もそう。実は親会社から球団に出向している身なので、戻されないようにしがみついています(笑)。

    よくある質問は「他球団ファンでも大丈夫ですか?」

    ———球団での求人にはどんな特徴がありますか?

    イーグルス鹿野: 私は前職が他業界の人事担当で、当時は応募を集めるのに時間を要していました。球団の場合、多くの申し込みをいただけます。その分、しっかり選考しなければならない難しさがありますが。

    ファイターズ秋葉: ファイターズは他業界含めたより多くの方との接点創出に向け、告知に力を入れているので特に多いかもしれません。2020年の中途採用では約5,000件の応募を頂き10人弱を採用しました。

    ホークス小田: プロ野球界の求人の難しさの一つは、他業界ではたらいている方たちの中から球団の仕事にバチッとはまる人材を見つけなければならないこと。意外かもしれませんが、球団間の転職って珍しいんですよね。

    バファローズ増田: 確かにそうですね。ただ、他球団の提携会社ではたらいていた方が、やはり球団本体ではたらきたいという意向を持たれて、転職を希望されてきたケースはありました。指示される側ではなく、主体となって球団の仕事をしたいということかと思います。

    マリーンズ町: 最近よく考えているのは専門性と柔軟性の両立。採用時に専門性を重視しつつ、その後に他部署で活躍できるオールマイティーさも同時に求めています。うちは部署異動が結構あるのですが、皆さんはいかがですか?

    ホークス小田: ホークスは目的に合わせて組織が柔軟に変わっていくので、人材の配置はかなり流動的です。

    バファローズ増田: うちは以前すごく人事異動が多かったのですが、最近は割と固定化してしまっています。業務を異なる視点から見るためにも、部署異動は必要じゃないかと思っています。

    ———応募された方からどんな質問をよく受けますか?

    マリーンズ町: 一日のルーティンをよく質問されます。基本的にフレックスなのですが部署ごとに違うので、職種ごとにていねいに説明するようにしています。

    ホークス小田: 「取得しておいたほうがいい資格はありますか?」とよく聞かれます。特にありませんと答えています。

    イーグルス鹿野: 「オフシーズンに仕事はあるんですか?」という質問もあります。もちろんオフにも仕事があり、多くの部署はオフのほうが忙しいくらいです。例えばイベントの部署はオフにほぼ1年分のスケジュールを決めます。

     

    ホークス小田: 営業部もそう。オフに1年分のスポンサー契約をまとめることを目指します。

    イーグルス鹿野: あと、よく「他球団ファンなんですけどいいですか?」という質問もあります(笑)。

    バファローズ増田: もちろん大丈夫ですよね。逆に私がよく質問前に伝えるのは「試合を見られないですけど大丈夫ですか?」ということ。球団事務所試合進行の確認のためにテレビでは流れていますが、あくまでも業務中なので、ずっと観ているわけにはいかないですし。昨年バファローズがパ・リーグ優勝を決めた瞬間は、私は同僚と関係者席から観戦しましたが、そういうのは特別な日だけです。

    ———球団にはどんな人材が向いていると思いますか?

    ライオンズ櫻木: 先ほど小田さんがおっしゃったようにプロ野球はエンタメ業界で、色々なものを自ら創り出さないといけないため、自分から能動的に動けることがマストかなと。

    ファイターズ秋葉: 自律マインドがすごく大事ですよね。周囲を巻き込む力も大事です。

    イーグルス鹿野: 社員数はそんなに多くない一方で、いろいろなプロジェクトが立ち上がるので、マルチタスクを楽しめる方が向いていると思います。

    ホークス小田: イレギュラーが日常の業界なので、突発的な出来事に対してわくわくできる人が向いています。

    マリーンズ町: マリーンズは「常勝軍団」という中期ビジョンを掲げており、それが日々のはたらき方にも落とし込まれています。常勝には「自分自身に勝つ」「業務のプロフェッショナルになる」「互いをリスペクトする」などいろんな意味があります。これを行動に移せている人がマリーンズで活躍している印象です。

    ———新卒採用についてはどう考えていますか?

    ホークス小田: ホークスでは2008年から3年間新卒を採用し、そこから5年間中断したんですが、2016年に再開しました。中断したときの年代が薄くなっており、管理職候補の数に影響を感じています。ジョブローテーションしながら横断的に球団ではたらくスキルを身につけていくという点で新卒は有効だと思います。

    ファイターズ秋葉: 私たちも新卒を採用しています。30代を30%に維持していきたいと考えています。現在ボリューム層が40代後半、50代なので、その層の定年から逆算して新卒を取っていく必要があります。第二新卒を含めていかに20代を採用できるかがテーマになっています。

    イーグルス鹿野: イーグルスも新卒採用をしています。2014年春入社が1期生で、そのうちの1人が部長になりました。新卒で入って球団のカルチャーを身につけた世代が、組織を引っ張っていく流れができ始めています。

    みんなでパ・リーグを盛り上げたい

    ———求人で競合することはありますか?

    ライオンズ櫻木: マリーンズさんとは一都三県くらいの範囲の人材採用で少し競合しているかもしれません。

    マリーンズ町: 千葉と埼玉は東京を挟んだ位置にあり、さらに私たちの2軍が埼玉にありますしね。

    バファローズ増田: 中途採用でライオンズさんやホークスさんと競合したことはありました。両球団とも合格となった結果、関西出身ということで、最終的にうちを選んでくれたというのもありました(笑)。

     

    ライオンズ櫻木: でも最終的に他球団に行った方でもプロ野球界で活躍してくれるとうれしいですよね。野球界で活躍できそうだという自分たちの見る目が間違っていなかったんだと答え合わせになるので。

    ホークス小田: 九州は皆さんから少し離れているので、あまり競合しないかもしれません。ただ最近、ファイターズさんは九州の新卒採用イベントに出展していましたよね?

    ファイターズ秋葉: ご存じでしたか(笑)。今日どこかで言わなきゃいけないとドキドキしていました。九州、沖縄、大阪といった全国エリアの人材も対象にしたいと考えています。

    ホークス小田: そこは縁。採用人数も限られていますし、人材を一つの球団で抱え込んでもプロ野球の発展につながりません。

    マリーンズ町: ちょうど小田さんと「パ・リーグの球団間で人事の流動性があったら面白い」と話していたんですよ。何かしらの理由で引っ越すことになったときに他球団ではたらけたら、プロ野球界外に人材が流失しないで済みます。

    ホークス小田: パ・リーグは各球団の地域がかぶっておらず、力を合わせる文化がある。これからもいっしょに盛り上げていきましょう!

    interview & text:木崎伸也
    photo:浅田政志

    ※人物の所属および掲載内容は取材当時のものです。

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