グルメを目的に球場に来る方をさらに増やしていくのが目標です │パ・リーグ球団 仕事図鑑2024

豊田 俊太（とよだ・しゅんた）さん

埼玉西武ライオンズ
営業部 アシスタントマネージャー
フード＆ビバレッジセールスグループ 兼
セールスマーケティンググループ

前職：ホテル業界

球場グルメが3年連続日本一に

　ネットの気になる話題をリサーチする「ねとらぼ調査隊」というメディアをご存じでしょうか。同メディアは2021年から球場飯がおいしいと思うプロ野球球団の投票を実施しているのですが、うれしいことに埼玉西武ライオンズは3年連続で1位に輝いています。

　ライオンズの本拠地・ベルーナドームでは約70店舗が合計1,000種類以上のメニューを提供しており、秩父わらじかつ丼や狭山茶漬けといったご当地グルメからエスニック系などの多国籍料理までバラエティの豊かさを評価していただきました。「獅子まんま」という愛称でファンに親しまれています。

　プロ野球界を超えて知っていただくきっかけになったのが、2023年7月に人気番組「マツコの知らない世界」で「スタジアムグルメの世界」として取り上げられたことです。特に話題になったのが、マツコさんがスタジオで食べて絶賛したクラフトピザ。キッチンカーに専用ピザ釜があり、注文を受けてから焼き始めるというこだわりの一品。大人気商品となり、待ち時間が1時間を超えることも珍しくありません。

　ほかにも「もつ煮の影千代」や「宮木牧場」といった人気店がたくさんあるので、複数の店舗をはしごしてSNSに写真を投稿する方をよく見かけます。

逆算してホテル業界に就職

　私が球団で働きたいと最初に思ったのは中学生のときでした。プロ野球選手を目指していた私に、母親が野球の仕事に関する本をプレゼントしてくれたんです。選手以外の道を知り、新たな目標ができました。

　球団の求人を調べると新卒採用はまれで、ほとんどが中途採用。まずは一般企業に就職し、球団への転職に役立つスキルを身につけることが先決だと考えました。そこで私が選んだのがホテル業界です。高水準のホスピタリティを身につけるべく、大型テーマパークに併設されたホテルに就職しました。

　ホテル内のブッフェレストランで2年半、コースレストランで8カ月間、ホール担当として勤務しました。子どものお客さまには膝を曲げて目線を合わせて対応するといったホテルマンの基礎から、フォークを落とされた方がいたら呼ばれる前に新しいものを届けるといったホスピタリティまで、さまざまなスキルを学ぶことができました。

　3年で転職しようと考えていたので調べたところ、ちょうどライオンズが飲食担当者を募集していたんです。父親が大のライオンズファンで、私自身も中学生のときにファンクラブに入っていたなじみのある球団。レストランの経験が評価され、2018年にあこがれのプロ野球界に入ることができました。

グルメ目的の来場者を増やしたい

　現在、私は飲食全般の業務を担当しています。具体的にはベルーナドームに出店している企業のサポート、グルメイベントの企画・実施、選手プロデュースグルメの企画・商品化、EC販売の「おうちでライオンズグルメ」の運営などです。

　2021年にオープンしたバックネット裏の「アメリカン・エキスプレス プレミアム🄬 ラウンジ」は企画から参加し、ブッフェエリアのオペレーションやメニュー開発に携わりました。ホテルのブッフェと多くの共通点があるので、前職の経験を存分に発揮することができました。

　私の新たな目標は「グルメを目的に球場に来る方」をさらに増やしていくことです。一般的に球場の食事というと屋台グルメという印象を持つ方も多いかもしれませんが、そこを覆したいんです。多くの方に「ご飯を食べるためにベルーナドームへ行こうよ」と言っていただけるように、もっともっと食を楽しめる空間にしていきたいです。