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“常勝軍団”を目指すチームにふさわしいブランディング │パ・リーグ球団 仕事図鑑2024

滝口 美保さん

千葉ロッテマリーンズ マーケティング戦略本部 ブランド統括部 クリエイティブグループ

パ・リーグ各球団で活躍する球団職員の皆さんに、現在携わっているお仕事内容とそれぞれの転職にまつわる経験談を伺いました。転職理由を掘り下げることで見えてきた、やりがい、情熱、夢…そこには、独自のキャリアストーリーがありました。

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    滝口 美保(たきぐち・みほ)さん

    千葉ロッテマリーンズ
    マーケティング戦略本部
    ブランド統括部
    クリエイティブグループ

    前職:教育業界

    ブランディングによって球団イメージが変わった

     千葉ロッテマリーンズにとって2020年は大きなターニングポイントになりました。球団として初めて「ブランド統括部」を創設し、チームイメージの統一感や品格を大切にするブランディングがスタートしたのです。2021年には「挑戦」「熱狂」「結束」といったマリーンズが勝つための三カ条を盛り込んだ球団理念が策定され、同時に2025年までの中期目標として「新たな常勝軍団に」という言葉を掲げました。

     かつてのマリーンズはその戦いぶりを「下剋上」と形容されることが多く、それがチームイメージにもなっていました。当時のチームの勢いを端的に表していたのだろうと思いますが、見方を変えると、下位であることが前提の言葉であり、「負けても仕方がない」という考え方が染みついてしまう恐れもあると考えました。そこで球団理念の策定とともに、選手やチームスタッフ、球団職員含め全員で「常に勝つ」、そのためには何をすればよいのかというマインドに切り替えることから始めました。

     マインドだけでなく、目に見える部分での変化も生じてきました。その一つがユニホームです。これまでマリーンズは「ホームタウン千葉県のために戦う日」として「ALL FOR CHIBA」と銘打った試合を開催してきました。数年前まで当該試合では赤いユニフォームを着用し、ファンの方たちからは「千葉ユニ」として親しまれてきました。ただ、マリーンズのチームカラーであるブラック&ホワイトとは異なる色合いで、チームのアイデンティティーが伝わりづらくなることが懸念でもありました。

     そこで千葉移転30周年となる2022年の「ALL FOR CHIBA」ではユニフォームを刷新、千葉移転当時の「CLM(※1)ロゴ」をモチーフとした新たなロゴを掲げたグレーのユニフォームを採用しました。チームのレガシーを継承しつつも、時代の変革期を感じさせる洗練されたデザインに仕上がり、ファンだけでなく他球団の方からも「マリーンズのイメージが変わった」とポジティブな反応をいただきました。

     さらに、その変化は球場内外で行われるスペシャルイベントにも波及しました。2021年から開催している「BLACK SUMMER WEEK」では、選手たちがイベント限定ユニフォームを着用するほか、オシャレな着こなしが楽しめるアパレルや、SNS映えを意識したグルメ、DJブースやBMXのパフォーマンスなど、野球が好きな方も初めての方も、夏の思い出として楽しめる空間を提供しています。20〜 30代の方を中心に好評を博し、今では夏の風物詩になっています。

    一貫性のあるメッセージとブランドの発信を

     私の具体的な業務としては、ブランド統括部のクリエイティブグループに属して主に球団公式サイト、X(旧Twitter)、InstagramといったSNS、YouTubeといったオウンドメディアの運用を担っています。こういったメディアを運用する際にも、球団として一貫性のあるメッセージとブランドを発信することが求められていると思います。そこで業務のよりどころとしているのが、80ページを超える「ブランドガイドライン」です。球団のブランドやアイデンティーは何かという話から始まり、それを表現するためのクリエイティブはこうあるべきという概念や、実際に制作物を作る際のカラー、ロゴ、フォントなどが細かく指定されています。

     ガイドラインによって球団から発信するクリエイティブに1本の軸が通り、部署を越えて「これは常勝軍団を目指すチームのイメージにふさわしいか?」「ブランドを損なっていないか?」といったことを考える習慣も生まれました。社内にはこれまで以上にマリーンズという「ブランド」にこだわる意識が芽生えていると感じます。

     一つ面白い現象があります。球団職員がマリーンズのアパレルを仕事やプライベートで着るようになったんです。普段使いできるアイテムが増えたこともあるんですが、デザインがどんどん洗練されていっているからだと思います。

    1年間の離島生活を経てプロ野球界へ

     私は大学院修了後にWeb広告の代理店に2年間勤務し、その後地域おこし協力隊(※2)の活動で広島県の離島で1年間塾講師を務め、2019年にマリーンズに加わりました。私自身はバスケットボール経験者で、もともとスポーツ全般に興味がありました。離島生活の中で広島カープが地域の人から愛され、日々の暮らしの活力となっていること、その人気を目の当たりにしたことも、プロ野球の世界に飛び込んでみようと考えたきっかけの一つです。

     異業種への転職でしたが、その決断は間違っていませんでした。自分たちが作ったもの、考えたものをファンの方に届けることにやりがいを感じますし、その反応もダイレクトに返ってくるので、すごく刺激的な毎日です。手触り感のある仕事を日々楽しんでいます。

     

    (※1)CLM:千葉ロッテマリーンズのイニシャルを組み合わせたもの。1992年の千葉移転当時のキャップにCLMロゴが採用されていた。
    (※2)地域おこし協力隊:過疎や高齢化が進む地方に、地域外の人材を受け入れて活性化する総務省の制度。

    interview & text:木崎伸也
    photo:松本昇大

    ※人物の所属および掲載内容は取材当時のものです。

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