新作のオリジナルグッズを毎週発表できるよう企画しています │パ・リーグ球団 仕事図鑑2024

岩井 広人（いわい・ひろと）さん

千葉ロッテマリーンズ
MD・コンセッション部
企画グループ

前職：EC業界

週に1回のペースでオリジナルグッズを販売

　千葉ロッテマリーンズが「常勝軍団」を目指す上で欠かせないのが、しっかりと収益を上げていくことだと思います。それが選手年俸や補強資金となり、充実した戦力につながるからです。

　そこで球団として力を入れているのがユニホームやグッズを販売するオンラインストアです。レギュラーシーズンにおける主催試合は年間約70試合。それ以外の日にも多くの方に身近に感じていただけるように、オンラインストアでいろいろな企画を打ち出しています。

　例えばシーズン中、オンラインストアでは毎週金曜日に新たなオリジナルグッズを受注販売しています。ファンの皆さまから注文をいただいてから商品を作るので球団として在庫を抱えるリスクがなく、フットワーク軽く常識にとらわれないグッズにチャレンジできていると思います。

　オンラインストアを含む商品企画を担当する「企画グループ」のメンバーはぼくを含めて計5人。毎週3つから5つのオリジナルグッズ企画を展開し、年間トータルで約120企画を実現しています。案を考えるのはかなり大変なんですが、全員30代で年齢が近いこともあり、数多くの意見を交わし、さまざまなファン層を想像しながらアイデアを出し合っています。

　日々の苦労が報われるのは、やはり反響が大きかったとき。個人的に思い出深いのはサンリオさんとのコラボグッズです。マリーンズは女性ファンがすごく増えているので、その層にさらに楽しんでもらいたいと考えたのがきっかけでした。

　まずは2023年７月、夏の恒例イベント「BLACK SUMMER WEEK」にあわせてサンリオの人気キャラクターとコラボしたTシャツやタオルをオンラインで販売しました。受注販売ではなく事前にかなりの数を生産して準備していたんですが、瞬く間に完売となりました。今年の2月にも同キャラクターとコラボしたキーホルダーやぬいぐるみ巾着を提供し、人気シリーズになっています。

　また、現在販売を行っている「株式会社ロッテ×千葉ロッテマリーンズ」のコラボグッズも反響が大きい企画となっています。2024年は「パイの実」が45周年、「コアラのマーチ」が40周年、「トッポ」が30周年のアニバーサリーイヤーとなる節目の年で何かコラボレーションした企画ができないかと両社で話を進め、3月からタオルやキーホルダーなどの販売が実現しました。特に「コアラのマーチ×千葉ロッテマリーンズ」のグッズで「チャンスくん」(※1)とのコラボグッズが大変人気となっています。球場演出で7回表終了後に行われるマリーンズラッキー7で、バックスクリーン下にコアラのチャンスくんの大型バルーンが出現する他、本年から球場ビジョンに「コアラのマーチ」の映像を放映する新たな演出が追加されたこともあり、球場演出と絡めた形での販売も後押しになったと思います。

自分が携わったグッズに出会える醍醐味

　もともとぼくは大学でスポーツビジネスを学んでおり、在学中にスポーツビジネスセミナーへ参加をしていました。セミナー経由でJリーグやbjリーグ（現：Bリーグ)などのクラブでインターンをしていました。ただ、そのときに「新卒でスポーツビジネスの世界に飛び込むのは少し厳しいぞ」と気がついたんです。社会人としての基礎を身につけないと戦力になれないなと。そこで大学卒業後に自動車販売店に勤め、翌年オンラインストア運営のベンチャー企業に転職しました。ちょうど世間でECサイトの利用率が高まりつつあるタイミングで、きっとスポーツ界でもECサイトの需要が高まると思ったんです。その読みは間違っていませんでした。約6年間のECサイト運営経験が評価されて、2021年にマリーンズへ転職することができたんです。

　この仕事をしていて最もうれしいのは、自分が携わったグッズに日常生活で出会う瞬間です。ぼくは千葉県出身で海浜幕張のショッピングモールや公園によく行くのですが、マリーンズのオリジナルグッズを身につけている方をたびたび見かけるんですね。「ぼくが携わりました！」と心の中でつぶやきながら、すごく誇らしい気持ちになります。

（※1）チャンスくん：「コアラのマーチ」のコアラがマリーンズのユニホームを着たキャラクター。