ファンは26番目の選手。『TEAM26』としての体験を生み出す │パ・リーグ球団 仕事図鑑2024
関谷 秀さん
千葉ロッテマリーンズ BtoC本部 コンシューマービジネス部 ファンクラブ・デジタルグループ
パ・リーグ各球団で活躍する球団職員の皆さんに、現在携わっているお仕事内容とそれぞれの転職にまつわる経験談を伺いました。転職理由を掘り下げることで見えてきた、やりがい、情熱、夢…そこには、独自のキャリアストーリーがありました。
Index
関谷 秀(せきや・すぐる)さん
千葉ロッテマリーンズ
BtoC本部
コンシューマービジネス部
ファンクラブ・デジタルグループ
前職:マーケティング業界
ファンの声に耳を傾けるのが仕事
千葉ロッテマリーンズの公式ファンクラブは「TEAM26」と名付けています。もともとプロ野球でベンチ入りできる人数が25人だったことから、マリーンズはファンを26番目の存在と位置付け、それがファンクラブ名の由来となっています。背番号26は永久欠番になっており、ファンにとって大事な番号です。ぼくは「ファンクラブ・デジタルグループ」の一員としてファンクラブの制度設計や顧客分析に携わりつつ、球場の「TEAM26」ブースを運営するのが主な役目になっています。
実際にはブース運営をサポートしてくれるパートナー企業がおり、試合当日は「TEAM26」ブースだけでも約40人のスタッフが従事してくれています。特にシーズン中はブース運営全体を管理・監督しながら、お客さまの声に最前線で耳を傾けることが最も重要な仕事です。
最近になって現地観戦の機会が増えた方からのファンクラブに関するお問い合わせが増えています。いただく質問は多岐にわたりますが、「TEAM26」はファン歴1年目からベテランの方まで、応援スタイルによっておすすめの会員コースが変わるため、特典の違いをよく聞かれます。また、チケットや飲食・グッズの購入時にポイントが付与される「Mポイント」という仕組みがあり、その獲得ポイント数に応じた6段階のステージによって特典が異なるので、それについての質問も多くいただきます。
特典をステージごとに設定していて、例えば会員限定イベントの参加権があります。定期的に開催している「ちば興銀プレゼンツ TEAM26 グラウンド練習見学会」は、ジュニア会員やMポイント上位ステージの方を対象にし、試合前の練習をグラウンドで見学できるようにしています。野球少年・少女やファンにはたまらない企画ですよね。
また、イニング間イベント「’47 DASHMAN RACE」の参加権も人気です。正体不明の俊足スプリンター「DASHMAN」とのダッシュ対決に勝利したら景品となっている「コアラのマーチ」と、「’47WINNER CAP」がプレゼントされます。「DASHMAN」が勝つと翌日以降に景品がキャリーオーバーされることも盛り上がりに一役買っています。
こうした多数の特典だけでなく、チケットの先行購入をできることが会員の最大の魅力になっています。昨年マリーンズのシーズン観客動員数は過去最多を更新しました。特に注目度の高い試合のチケットの獲得が年々難しくなっており、先行販売のニーズが高まっています。「Mポイントステージ」が上がるほど早くチケットを購入できるので、そのために会員になる方が増えています。
同志とのつながりがマリーンズへ転職する契機に
ぼくは昔からスポーツ業界の仕事に興味があり、漠然とスポーツライターにあこがれていました。ただ、大学生のときに人材会社主催のスポーツビジネスセミナーに通って球団やリーグの方たちと出会い、記者以外の関わり方があることを知ったんです。新卒でその人材会社に就職し、セミナー参加者のコミュニティー運営とキャリア支援を8年間担当しました。すごくやりがいがありました。
しかし親会社の方針変更で、スポーツ関連事業から撤退することになってしまったんです。そのタイミングでぼくはファンマーケティング会社へ転職しファンづくりとは何か?に向き合ってきました。
幸運だったのは1社目のスポーツビジネスコミュニティーの同志がマリーンズへ転職していたことでした。彼に連絡して面接を受けたところスポーツ業界でのコミュニティー運営経験が評価され、2022年12月にマリーンズの一員になれたんです。
今後個人的に力を入れてみたいのはファンの共通体験を増やすことです。マリーンズは「ビジター応援デー」を設けて、他球団主催の試合にもブースを出すのですがオンラインでも共通体験をつくれたら面白いと考え、昨年X(旧Twitter)用に「ビジター応援デー」特製アイコンを作り、ファンの方たちに使っていただく試みをしました。タイムラインを埋め尽くすまではいかなかったのですが、一定の手応えを得られました。
これからもマリーンズを応援する喜び、感動、熱狂を最大化できるようなコミュニティーづくりに挑戦していきたいと思います。
interview & text:木崎伸也
photo:松本昇大
※人物の所属および掲載内容は取材当時のものです。










