優勝決定日の忙しさは特別。すべてを出し切った感覚があります │パ・リーグ球団 仕事図鑑2024

西田 光（にしだ・ひかり）さん

オリックス・バファローズ
管理本部 広報宣伝部
宣伝グループ

前職：新聞業界

優勝決定日の特別な達成感

　球団の広報は主に「チームに同行する広報」と「事業サイドの広報」の2タイプに分けられます。私は後者、オリックス・バファローズ管理本部広報宣伝部の一員として、プレスリリースの作成・配信や取材申請の対応などを行っています。

　プレスリリースの例を挙げると、イベント開催やオリジナルグッズ発売に向けて情報をまとめ、メディアにメールなどで配信するという感じです。一般のファンの方たちの目に留まる機会は少ないかもしれないですが、多い時期は毎日のようにプレスリリースを配信しています。

　取材対応については、世間からの関心と比例する部分があります。2023年6月、選手たちがお笑いコンビに扮した「キングオブコンビ」というポスターを発表したときには、SNSで話題になり、取材依頼が殺到しました。人気投票企画で選ばれた選手たちを「アイドル」風のビジュアルで撮り下ろした「Bsオリ姫デー」も問い合わせが急増したイベントです。企画担当者と記者の取材日時の調整をはじめ、情報を精査して取りまとめるなど、露出チャンスを最大限活かすために広報としても力を尽くしました。

　ただし、なんといっても最も忙しいのは優勝決定の日です。私は2019年7月にバファローズに転職したので、幸運なことに2021年からのパ・リーグ三連覇、2022年の日本シリーズ優勝を広報として経験させていただきました。素晴らしい思い出なのですが、優勝決定日の忙しさは特別です。よくぞその日を乗り切ったという達成感があります。

　2023年9月20日、パ・リーグ三連覇を決めたときも怒濤の1日でした。試合開始前から優勝後の共同会見のセッティング、記者向けの資料準備などやることはたくさんあります。優勝が決まった後も、準備していたリリースや優勝ロゴの配信をはじめ、オリックスグループ社員向けにも情報発信するため、監督コメントをまとめたり写真を手配したりとバタバタでした。

　このときは京セラドーム大阪で初めてビールかけ祝勝会を行うことができました。選手たちが各テレビ局のブースを回り終え、すべての業務が終わったのは深夜2時。翌日も優勝対応で朝から仕事だったので、タクシーで帰宅してすぐに就寝しました。優勝の余韻に浸る暇はありませんでしたが、眠りについたときにすべてを出し切った感覚がありました。

公式サイトで描く仲間たちのストーリー

　私は大学卒業後、北陸地方にある新聞社に就職し、外勤の取材記者を3年、内勤の整理記者を2年経験しました。新聞社で記者の基礎をたたき込んでもらったことが、現在プレスリリースの作成や取材対応を行う上ですごく役に立っています。

　私が幸運だったのは2014年に新聞社に入社して運動部の配属となり、2015年に春の甲子園で優勝する敦賀気比高校の担当になったことです。選手たちのお母さんや裏方さんに話を聞く機会があり、いろいろな人の思いに触れて高校野球の魅力に引き込まれました。優勝時は「この瞬間を絶対に逃してはいけない」という緊張が張り詰め、現場にいる記者全員が神経を尖らせて取材に臨んでいました。

　新聞社の仕事も充実していたのですが、地元で働きたいという気持ちが強くなり、大阪で転職先を探しました。記者の経験が評価され、バファローズの広報になることができました。

　今、私が個人的に最も力を入れているのがバファローズで働く人たちや球団の魅力を球団公式サイトで紹介する「蔵出しノート」の執筆です。上司から「自分の色を出せる仕事をしてみたら」というアドバイスを受けて2022年に始めました。

　ほかの広報業務もあるのでなかなか時間を取れないのですが、魅力たっぷりの仲間たちをみんなに知ってほしいという思いに突き動かされて執筆しています。ぜひ機会がありましたら「蔵出しノート」を読んでいただけるとうれしいです！