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チケットはファン化のきっかけ “ゼロイチ”の連続で目指す文化定着

稲田 崇志さん

シーホース三河株式会社 マーケティンググループ CRMチーム

学生時代はバスケットボールに熱中。「わずかでもスポーツとの接点が持てるなら…」との思いで稲田さんが選んだ最初の職業は、フィットネスジムのインストラクター。今の仕事も楽しい。でも、バスケットボール界へのあこがれも捨てきれない。そんなときに見つけたのがB.LEAGUE(以降、Bリーグ)・シーホース三河のチケット企画・運営の仕事。好きを原動力にしてつかみ取った天職で、一人でも多くの人をBリーグ沼へといざなうためのファーストブレークに挑み続けています。

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    ジムインストラクターを経て5年前にシーホース三河に入社した稲田さん。「あこがれのバスケ界に貢献できていることに喜びを感じている」と熱く語った[写真]渡邉彰太

    チケット販売の仕事は5%未満

    ———“好き”が高じての転職とのことですが、迷いはなかったのでしょうか?

    迷いがなかったかと言われれば…。それでも、「あこがれのバスケ業界に当事者として参加できるチャンスを逃したくない!」という気持ちに突き動かされて転職を決意しました。実は、三河の地には縁もゆかりもありません。シーホース三河というチームも名前を知っている程度で。チケット販売の仕事すらもピンと来ていない状態でした(笑)。それでもチームの一員として仲間入りさせてもらえたのは、私の並々ならぬ熱意が伝わったからだと信じています!

    ———チケット企画・運営とは、いったいどんな仕事なのでしょうか?

    窓口でチケットを売ることが仕事の中心だと思って入社しましたが、配属早々に窓口でのチケット販売が業務全体の5%未満であると知り、いい意味で裏切られました。チケット価格の設定や販売手法の効率化はもちろん、問い合わせ対応、メルマガ・SNSの運用、「こたつ席」をはじめとするお楽しみ企画の立案など、業務は多岐にわたります。販売の前工程から後工程まで“集客にまつわるすべての業務に関わることができる”のが、CRMチームの一員としての最大の醍醐味ですし、そこに携わっていることを誇りに思っています。

    ———いい意味での裏切り、その中で得た新たな気付きとは?

    「目標を立て、達成に向けた企画を立案し、戦略を練って実践する」――その繰り返しの日々がこんなにも面白いと感じられるなんて、想像すらしていませんでした!「入場者数の推移なんてたまたまだよね」と思う方も多いでしょう。実際、私自身もそうでした。ただ、当事者として集客に真剣に向き合う中で思い知らされたのは、決して一朝一夕にはいかないということですね。だからこそ、昨シーズンの最終戦で観客動員数の歴代記録を更新できたときは、言葉では言い表せないぐらいの喜びを感じることができました。長いシーズンの集大成の特別な日に、最も分かりやすいかたちで、CRMチーム一丸となって取り組んだ施策の成功を目の当たりにできたわけですからね。われわれスタッフだけでなく、選手にもファンの皆さんにも喜んでもらえて、励みになったと同時に、さらなる記録更新を目指したいという気持ちが高まりました。

    大好評のグループシート「こたつ席」。ファンを飽きさせない取り組み、未来のファンを振り向かせるためのイベントを行うことも大事な仕事だ[写真提供]シーホース三河

    B.PREMIERに向けて視界良好

    ———歴代記録を更新して迎える2023-24シーズン、目標として掲げていることは?

    Bリーグに所属しているチームは今、「B.PREMIER(※)」参入に向けて、改革というべき施策を講じている真っ最中です。各チーム、話題は尽きません。シーホース三河にも、新アリーナ建設をはじめ、明るいトピックスは豊富にあります。その状況の中でCRMチームが掲げているのは、「平均入場者数3,000人以上」という目標です。特に2023-24はB.PREMIER参入の試金石となるシーズンなので、目標というより最重要課題として捉えています。

    (※)2026-27シーズンに創設される新トップカテゴリー。参入条件に平均入場者数、新基準アリーナ、売上高など審査基準が設けられている。

    ———達成の手応えはいかがでしょう?

    平均入場者数3,000人以上は、必ず達成させます。そう断言できるのは、昨シーズンの開幕前から2023-24シーズンに照準を合わせ、タネをまき、まだ芽吹きの段階にもかかわらず歴代記録を更新することができたからです。あとは開幕を待つのみですね。チームみんなで大事に育ててきたタネが花になったとき、シーホース三河は新章を迎えると信じています。ぜひ、ご期待ください! マーケティング戦略上、この場で詳しくお伝えできないのが心苦しいですけどね(笑)。

    まもなく完成予定の新アリーナ。B.PREMIERへの参入に向けて、期待が膨らむばかり[写真提供]シーホース三河

    他力ではなく自力で目指す文化定着

    ———2023年8月に開催されるFIBAバスケットボール・ワールドカップは、新規ファン獲得の絶好のチャンスですね!

    ワールドカップ開催はもちろん、海外で活躍する日本人スター選手の台頭などの影響で、バスケットボールという競技そのものへの注目度は急上昇中です。「この空前の好機を逃すことなく、新規ファン獲得のために全力を注ぐ」…それも、一つの手だと思います。しかしながら、私個人をはじめCRMチームは、外的要因だけに期待するのではなく、「自分たちの力で何ができるのか?」を徹底的に追求し続けています。ここも戦略に関わるので、この場では具体例を紹介することができず、申し訳ありません。でも確実に言えるのは、既存・新規というように区分けすることなく、シーホース三河、ひいてはBリーグ、もっと言えばバスケに少しでも興味を持ってくれる方全員を楽しませることを何よりも重要視しているということです。

    ———成り行き任せというわけにはいかないのですね。

    外的要因は、あくまで着火剤です。一過性のブームで終わらせることなく、文化として定着させるためには…。おこした火を維持しつつも、さらに勢いづかせるために薪をくべる存在が不可欠です。そしてそれは、Bリーグ所属チームの中でも屈指の歴史と伝統を誇るシーホース三河が担うべき役割だと思っています。CRMチームは、まさに最前線部隊。一人でも多くの方に来場していただき、試合やイベントを楽しんでもらって、「また行きたいな」と感じさせる、その“きっかけ”をチーム一丸となってつくり上げているのです。バスケで言うなら、ファーストブレイクってところですかね(笑)。

    ———来場してもらえれば、感動させられる自信があるということでしょうか?

    あります。「思っていたのと違う!」これは、初来場の方のほとんどが口を揃えて言う言葉です。もちろん、いい意味での話ですよ(笑)。ウチに限った話ではなく、リーグ全体に言えることですけどね。エンターテインメント性とリピート率の高さは国内プロスポーツ界屈指ともいわれているBリーグは、バスケファンやスポーツファンだけでなく経済界からも注目されています。「百聞は一見にしかず」ですから、来て・見て・触れてもらえば分かる感動がたしかにあります。(来場は)たった1回でも、されど1回ですからね。これからもごひいきの方々の満足度を高めながらも、初来場の方の興味がゼロからイチに変わるきっかけを生み出し続けたいと思っています。今はその難しさと、それ以上の楽しみを感じつつ、充実した日々を過ごしています。

    会場のボルテージを一気に高めるエンタメ性に富んだ演出もBリーグ人気を支える要素。この感動と興奮を肌で感じてもらうためのきっかけづくりがCRMチームの使命[写真提供]シーホース三河

    試合に出なくても勝利に貢献できる

    ———勝負の世界を裏側で支える立場として、意識していることはありますか?

    プロスポーツチームの一員であるからには、勝ちにこだわりたいと思っています。その一方で、勝敗がすべてではないことを心得る必要があると、今の立場になって初めて気付かされました。勝負事は選手だよりにならざるを得ません。われわれスタッフにできるのは、たとえ負け試合になったとしても、「来て良かった!」と来場者に言ってもらえる環境をつくり出すこと。好不調の波から逃れられない世界で生きているわけですからね。「目先の勝敗に一喜一憂することなく、シーホース三河に関わるスタッフ一人ひとりが、プロとして自らの役割・責務を完遂する」——そうすることで、盤石な“基盤”を形成できれば、選手はよりいっそう試合に専念しやすくなり、結果的に勝利につながるものだと信じています。

    ———試合以外でも熱くなれる場面がプロスポーツ界には多いのですね。

    この仕事と出会い、がむしゃらに突き進んだこの5年を振り返ってあらためて感じたのは、「転職して本当に良かった!」ということですね。競技への興味・関心がきっかけとなり選択した進路ではありますが、バスケ熱の高まり以上に、自らの強み・弱みを知ることに喜びを感じているんです。そこに気付いたとき、誰よりも私自身がいちばん驚きました! これも、いい意味での裏切りなのかな(笑)。いまだに、自分の可能性の広がりにワクワク感を抑え切れません。いつまでも飽きることなく、適度な刺激を受けながら、常に成長を実感し続けられる、まさに天職ともいえる仕事に携わることができて、心の底から幸せだと思えています。

    「プレーヤーじゃなくてもプロ意識は不可欠」シーホース三河の名を背負い、力強く話す稲田さんの活動は、バスケ文化定着の礎になるはずだ[写真]渡邉彰太

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    つくり手となり知ったグッズのチカラ「一体感と追体験」がキーワード

    バスケットボールという競技にも、三河という土地にも無縁の鈴木さんが、思いがけないカタチで出会ったB.LEAGUE(以降、Bリーグ)・シーホース三河のグッズ企画・販売という仕事。最初は単なるモノだと思っていたグッズ。ただ、つくり手になって気付いたのは、アイテム一つひとつにプロスポーツ界を支えるチカラが秘められているということ。そんな新たな気付きを得て鈴木さんに芽生えた目標は、「シーホースを三河のシンボルに」です。

    interview & text:古田涼/dodaSPORTS編集部
    photo:渡邉彰太

    ※人物の所属および掲載内容は取材当時のものです。

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