「オシムさんの考えをビジネスに」 巻誠一郎が社会課題に挑む真意
ゲスト:巻 誠一郎さん × ナビゲーター:加地 亮さん
株式会社フットアス代表取締役/株式会社Steadfast Global Art代表取締役/元サッカー日本代表
スポーツ業界で活躍する「人」を通じて、“スポーツ業界の今とこれから”を考える対談企画『SPORT LIGHTクロストーク』。サッカー元日本代表・加地亮さんがナビゲーターとなる今回のゲストは、同じくサッカー元日本代表で、現在はサッカースクール経営、メディア露出などの傍ら、さまざまな事業を立ち上げる起業家・巻誠一郎さん。自身の競技生活からセカンドキャリア構築、今後の展望などを、2006 FIFAワールドカップ・ドイツ大会でもともに戦った盟友同士がじっくり語り合いました。
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現役時代はジェフユナイテッド市原・千葉などで活躍した巻さん。日本代表としては国際Aマッチ38試合出場8得点を記録し、加地さんとともに2006 FIFAワールドカップ・ドイツ大会に出場した[写真]Icon Sport/Getty Images
転機となった熊本地震
加地 ワールドカップ(2022年カタール大会)関連で最近、会うことが多いけど、仕事のことはあまり話したことがないよね。今回はあらためて話を聞かせてください。
巻 はい、よろしくお願いします。
加地 巻は2018年いっぱいで引退したよね。現役を引退して、今はどんなことをしてるの?
巻 自分でもよく分からないですね(笑)。基本的にやりたいことしかやらないっていうスタイルなんで、自由ですよ。
巻さんは2014年、J2・東京ヴェルディから出身地・熊本に本拠地を置くJ2・ロアッソ熊本に移籍。主力として5シーズンにわたり活躍したのち、2018年シーズンをもって現役を引退した[写真]中野賢太
加地 たしか、「放課後等デイサービス」を手がけたり、aiwell株式会社の社外取締役を務めたりしてるよね。
巻 そうですね。基本的にはサッカーに関連する仕事か、ぼくが力を発揮できる社会性のある事業に取り組んでいます。中でも社会課題に特化した事業を主にやろうとしています。
加地 なるほど。サッカー関連の仕事というのは?
巻 サッカーに関しては、現役のころからサッカースクールと施設の運営をやっていました。今は北海道に3カ所、熊本に2カ所あって、学校の社会体育で5校くらいやっていますね。
加地 現役のころから? 知らんかった(笑)。
巻 現役中にもう一つ、放課後等デイサービスも立ち上げました。2017年ですね。自分が代表取締役になって施設を8カ所まで増やしたんですけど、ぼくが別にやりたいこともあったので、パートナーに全部譲りました。今は20くらいまで施設が増えていますね。
現役時代、少年サッカースクール「カベッサ熊本」開校を機に、株式会社フットアスを設立。2015年には、放課後等デイサービスセンター「果実の木」(熊本市)の事業も発足した[写真]本人提供
加地 そうなんや。aiwellの社外取締役としてはどんなことを?
巻 もともとはタンパク質の研究を行うバイオベンチャーなんですけど、ヘルスケア部門もある会社で、ぼくの立ち位置はアドバイザーですね。何か事業をやっているわけではないけど、社会をよくする方向に力を尽くしたいと思っています。
加地 そういった仕事に携わるようになったきっかけは?
巻 (2016年4月の)熊本地震です。それまでは、引退してコーチになって、ライセンスを取得して、解説をしながら監督を目指す……といった人生をイメージしていました。でも地震を経験して、社会課題に直面すると熱量高く行動できることが分かった。誰かのためになると思ったら、自分でもびっくりするくらい動けるし、ずうずうしくなったんです(笑)。
加地 そこで気づけるのってすごいね。
巻 人を巻き込んで形にしていこうと思って、まずはNPO法人「YOUR ACTION」を立ち上げて、代表理事になった。災害時には復興支援をしたり、熊本市・熊本県から委託を受けて学校を講演して回ったりしました。日本財団の支援を受けて、子どもの夢を育むプロジェクトも熊本で立ち上げました。
加地 震災を経て、人のために行動する、社会のためにアクションを起こすことが自分のセカンドキャリアだと分かったんやね。
今回の対談で巻さんの具体的な活動内容を「初めて聞いた」という加地さん。さまざまな取り組みに「とにかく行動力がすごい」と感心しきり[写真]中野賢太
巻 でも引退後1~2年くらいはフラフラといろんなことに手を付けてたんですよ(苦笑)。そこから2019年に障害福祉の分野で就労継続支援A型の事業所を開設して、熊本で農業と福祉の連携をスタートしました。
加地 それは具体的にはどういうもの?
巻 障害を持った子どもたちが大人になったとき、最初の働き口として障害者就労支援施設に行くんです。でも単純作業が多く、自分の仕事に愛着を持てなかったりする現状があることが分かりました。そこで考えたのが、障害を持った方の農業就労を支援する環境づくりです。自分が愛情を注いで育てた農作物を消費者が買ってくれて、おいしいと言ってくれればうれしいし、もっといいものを作りたいと思えるはず。そういう循環をつくりたかったんです。
加地 そういうのって、人から頼まれてやるのが普通じゃない。巻の場合は、全部自分発信で手がけているの?
巻 はい。協賛も何も集めずに全部最初から自分で立ち上げました。なぜ農業かというと、地元を回って分かったのが、その地域の農業従事者の平均年齢が70代と高齢化が進んでいるということ。一部の農家ではミニトマトのハウス栽培もやっていけないということで、対価を払って外国人技能実習生に来てもらっている状況でした。その実習生と障害を持った方の相性もすごくよくて、お互い補完し合えることも分かった。農業と福祉の連携を始めようと思ったのは、そんな事情からなんです。
地元の熊本県宇城市にビニールハウスを新設し、ミニトマトの栽培を通じた農業と福祉の連携(農福連絡事業)をスタートした[写真]本人提供
加地 農業と福祉の連携を形にしたんやね。
巻 はい。だけどぼくはまた新しいことがやりたくなる(苦笑)。農業のモデルをつくったタイミングで、今度は畜産のほうに目を向けました。熊本は馬刺しが有名ですけど、馬の飼育業者のところに同じモデルを導入したんです。そちらの事業もめどがついたところで、畜産をやりたい方にまるっと業務譲渡をしました。また自分がやりたいことを見つけようと思って。
加地 ホンマ、好奇心旺盛やね。
巻 熊本地震を経て、障害を持っている方と関わりを持つ機会が増えて、前に話した放課後等デイサービスに着手し、違う事業も手がけるようになったんですけど、彼らの環境についてはずっと気になっていました。
障害者が働く事業者には国から助成金が出るんですけど、ある事業所での労働環境を見ると、最低賃金分しか支払われていない。それ以上の価値を持たれている方って本当にたくさんいるんですけど、それ以上にならない仕組みになっているケースが多いんです。
ぼくはそこに対して疑問を感じた。どうしてなんだろうと考えたときに、やはり“枠組み”があるからだと気づいた。であれば、それを撤廃できる新たな事業をつくって、株式会社として助成金を受けずに運営できるようにすればいいんじゃないかと思ったんです。そこで2年前に株式会社Steadfast Global Artを立ち上げて、将来的にIPO(新規上場)できるくらいのところまでの事業設計を一人でやってきました。
加地 すごいね。本当にゼロからたった一人で。
巻 マジで大変でした。でも、現場で見て感じた課題を何とかするため、一つひとつ積み上げるのがぼくのスタイル。そこは現役時代のプレースタイルと同じで泥臭く行きますからね(笑)。上からズドーンと落とす事業が一番簡単だし、すぐに形になると思いますけど、継続できるかといえばそうではないことも多い。基礎の土台をしっかりとつくって、時間がかかっても一歩ずつ進めていくことをいつも意識しています。
「常に現場で人と触れ合って感じたことを大事にしている」と巻さん。福祉の現場で見えた社会課題に取り組んだ経緯を明かした[写真]中野賢太
「誰かのために力を使いたい」
加地 巻の「人のため、社会のため」って考えは昔から? なんかフォワードっぽくないよね(笑)。
巻 フォワードっぽくないですね(苦笑)。やっぱり震災が大きかったとは思いますけど、もともとぼくは人と違うことに価値を求めていたタイプ。人と同じことをやっても勝てないって分かっていたから。人と違う価値を探していくサッカー人生だったのかなと感じます。
加地 でも現役時代はコーチや解説の道も考えていたんだよね?
巻 ですけど、それはぼくじゃなくてもできるポジション。サッカー選手ってある程度、知名度があって、何かアクションを起こそうとすると人が助けてくれたりしますよね。その力を自分の利益のために使うんじゃなくて、誰かのために使うことで、みんながハッピーになると感じました。それにぼくは、夢を追いかけるのが好きなんです。「課題を持っている人が一人でも笑顔になれるようにしたい」ということが自分の夢になっていったんですよ。
加地 そう思う具体的な出来事があったの?
巻 熊本地震の災害ボランティアをしていたころ、サッカー教室をした小学校で一人だけ帰らずにいる子がいたんです。聞いてみると児童養護施設の子だった。それがきっかけでその施設に行くようになり、バーベキューやクリスマスディナーなど交流を持つようになりました。その延長線で障害を持つ方や福祉に目を向けるようになり、放課後等デイサービスなどの事業につながっていきましたね。
熊本地震を機に交流が始まったという特別支援学校での様子。催しにはスポーツ選手をはじめ、熊本出身のタレント・コロッケさんも参加してくれたという[写真]本人提供
加地 あの震災があったときは熊本の人は相当大変な思いをされたと思うけど、本当にそれがきっかけになったんやね。
巻 その過程で、「どうしたら彼らに夢を持ってもらえるのかな」とも考えるようになりました。あるとき、子どもたちに絵を描いてもらう時間をつくったところ、ぼくらじゃ思いつかないような色の配分や手法で絵を描くことに驚かされた。ものすごく惹きつけられたし、「ああ、これだったら将来的に一人で食べていくことも可能じゃないかな」とピンと来たんです。
ただ、実際にその絵を販売してみたところ、言い方は悪いですが「お情け」で買ってもらうというのが非常に多かった。これでは長続きしないなと感じました。子どもたちの絵にどう価値を持たせるべきか。それをムチャクチャ考えましたね。
「みんなの夢につながることを模索していた」という巻さん。自身の放課後等デイサービスで子どもたちの描く絵を見て「これだ」と感じたという[写真]本人提供
加地 それでどういう方向に?
巻 2020年7月に熊本水害が起きたとき、プロのアートデザイナーの知人が「何かできることはないか」と連絡をくれたんです。そのときにピンと来た。アーティストと子どもの絵でコラボアートを作ったら面白いんじゃないかとひらめいたんです。
加地 プロのアーティストが描いた絵と子どもの描いた絵を一つに?
巻 そうです。子どもの描いた絵の上にプロが絵を載せていくんです。そしたらすごい作品ができましたね。ぼくが大事にしたかったのは、対価や売り上げじゃなくて、「将来プロの人みたいにカッコいい絵を描きたい」「それでご飯を食べたいな」といった目標を子どもたちに持ってもらうこと。それを実現するために収益を上げたいと考えた末に、このコラボアートを作品として企業や団体、個人に向けて提供するサブスクリプションサービスをやろうと思ったんです。
加地 いろんなところにアンテナ張ってるね。
巻 でもサブスクも簡単じゃないんです。ぼくの目標は1万社、10万社に絵を提供することだったけど、100社を超えてくると実物をリースするのは不可能。どうしたもんかといろいろ調べていたら、デジタル上で絵を載せる仕組みならいけるんじゃないかと。それなら直接会う必要もないし、システムを使って世の中に配信できる。1枚の絵を10万、20万、100万社に提供できますし、毎月絵を替えることもできる。将来的にはNFT(Non Fungible Token=非代替性トークン)を活用してデジタルで権利をしっかり管理する仕組みもつくれることが分かった。その展示や販売がデジタルサイネージという技術でできるということも後から知りましたね。
加地 なに? アグネス・チャン?
巻 ぜんぜん違います。「デジタルサイネージ」です(笑)。
加地 冗談はさておき、実現するにはきっと専門的で高度な技術が必要になるよね。
巻 そうなんです。配信の仕組みを整備しないといけないし、価格も落とさないといけない。調べた中でデジタルサイネージのディスプレイの技術が高かったのがソニーだったので、飛び込みで行きました。トップにたどり着いて、プレゼンして、お手伝いしていただけることになったんですよ。
加地 行動するねえ。実際に絵を描いているのはどういう子どもたちなの?
巻 基本的には小学生を対象にしているんですけど、本当に手をギリギリ動かせるぐらいの子でも自分で好きな絵を選んだり、色を塗ったりできる。そこで驚いたのが、彼らの心の中が全部出てくること。青や紫といった青系の色しか使わない子もいれば、黄色やオレンジなど明るい色しか使わない子もいる。いろんな感性があるんですよね。
子どもたちとアーティストのコラボレーション作品。デジタルアートを配信するサブスクリプションサービス発足に向けたプロジェクト「Steadfast Global Art」を立ち上げた[写真]本人提供
加地 その活動を通じて、子どもたちの意識の変化もあった?
巻 ありますね。子どももそうなんですけど、親御さんのほうが大きいですね。障害の子を持つ親御さんの中には、「私が一生面倒を見る」という意識が強い方が多い。でも子どもたちが経済的に自立できれば精神的にも安心できるし、子ども自身も新たな感性を発見できる。企業もSDGsに向き合えますし、プロのアーティストも対価をもらえる。誰も困らないですし、みんなにとっていいシステムだと思うんです。
加地 いろんな人の思いが絵に乗っかるんやね。
巻 そうなんです。今はやっと何台か設置できたので、ここから大きく広げていこうという段階です。ただ、会社のSteadfast Global Artは社員ゼロ。営業や銀行との打ち合わせ、ソニーとの配信関係のミーティング、絵を描きに行く作業も全部ぼく一人でやってます。だからメチャメチャ大変です。
加地 現役のころからハードワークできる選手やったから、熱量をビジネスの現場でも感じてもらえるんやろうね。
巻 熱量で押さないと、詳しいことはあんまり分かんないですからね(笑)。
加地 ビジネスとしてのめどは?
巻 今はテスト的にモニターを4台設置しているんですが、次に入れていただけると言っている企業が数百社ある状態です。応援してくれるところを巻き込んで、設置台数を増やしていけば、そのぶん収益が上がると見込んでいます。
この事業に夢があるなと感じるのは、子どもたちの絵にバンクシーみたいな有名アーティストが絵を載せてくれたら、1億円とかの価値になるかもしれないこと。その何パーセントかが子どもたちに入ってくるんです。
「収益化が成功すれば子どもたちのためのアカデミーや美術館もつくれる」と展望を語る巻さん[写真]中野賢太
加地 それはスゴイ。俺もちょっとやろうかな(笑)。
巻 加地さんの絵に価値があるかっていうのは買う人が決めるんで、もしかしたら10円ってことになるかもしれないけど(笑)。でも、マーケットでしっかり価値が付くものがあれば、将来的には何万円、何十万円になることもあり得ると思いますよ。
加地 価値を高めないといけないんだね。
巻 そうです。とりあえず今はNFTの仕組みを使って肖像管理ができるようにして、そこから世界的なアーティストが自由に絵を載せられるような形にすることが先決ですね。デジタル上でも子どもたちの名前が有名アーティストの絵に表示されるのは本当にすばらしいことだし、喜びにつながりますからね。
「考えながら走る」を貫く
加地 それにしても、巻がサッカー選手を引退してデジタルアートのビジネスを手がけるようになるとは思わへんかった。サッカー選手としての経験が今に生きていると思うことはある?
巻 もう全部ですよ。ほぼほぼ生きてます。課題を見つけてそれに取り組む形だから。
加地 まさに(故イビチャ・)オシムさんのイズムやな。
巻 オシムさんです。オシムさんの考え方をそのままビジネスに展開する。ホントそれだけです。ぼく、それ以外できないし。
加地 常に「考える」ことを強調されていたもんね。
ジェフユナイテッド市原・千葉や日本代表で監督を務めた故イビチャ・オシム氏に師事した巻さん。名将の哲学は今もなお生きていると話す[写真]中野賢太
巻 「考えながら走る」ってことですね。失敗することもいっぱいありますけど、ぜんぜん気にしない。デジタルアートをやるときも、デジタルサイネージの企業に飛び込みで行った話をしましたけど、先方からは「巻くん、これはちょっとしんどいよ」と最初、NG出されましたからね。でもぼくはガッツポーズして帰ってきたんです。
加地 ……え、なんで?
巻 ぼくの中では絶対にできるイメージがあったんで。企業側は広告をつけたりして対価を得ようと考えたんだと思うけど、ぼくはぜんぜん違う考え方だったから、「だったらまねされない」と手ごたえをつかんだんです。それから地道にコツコツやって、世の中にリリースできるところまでこぎつけることができました。
加地 先駆者みたいな感じやね。ホンマにスゴイわ。
巻 このマーケットが確立すれば、国の税金や補助金などで支援されてきた障害のある人たちが、逆に納税する側に回れるんですよ。それが本当のバリアフリーだとぼくは思っています。
加地 信念持って動いているんや。サッカーをやめてビジネスで苦労したという話をよく聞くけど、巻の場合はそんな次元じゃないね。
巻 ぼくはやりたいことをやっていますから。失敗とか苦しみ含めてやりたいことなんで、日々、ポジティブなんです。
加地 深いね。
巻 浅くないですか。
加地 デカいだけじゃないんだね。
巻 そうなんですよ(笑)。
加地 今後の目標は?
巻 ないですね。ないというか、次から次にいろんな社会課題が出てくるんで。一つ形にしたら、次はこれをやらなきゃいけないっていうのが見えてくる。それをやっちゃうのが自分なんですよ。
加地 普通は見えないし、仮に見えたとしてもなかなか動かないよね。
巻 見えるところはみんな見えるんだと思いますけどね。ぼくの場合はめっちゃ地味なことばっかりやってる。ただ、こういう機会に知ってもらえるのはうれしいですね。
「アクションして人と関わるとまた新しいインスピレーションが生まれる」と話した巻さん。「でも一人でやるのはまあまあ大変です」と笑う[写真]中野賢太
加地 セカンドキャリアを視野に入れて、現役選手にアドバイスできることがあるとしたら何だろう?
巻 現役のころ、そんなこと考えてなくなかったですか。
加地 考えてなかったね。
巻 やっぱり現役選手の間は研ぎ澄ませて、とがらせたほうがいいかなと。結局、ぼくもサッカーしかやってなかったですし。とがらせて一生懸命、一つのことに向き合うからこそ、いろんな経験ができますからね。
加地 現役選手にはとことんサッカーを突き詰めてやれということやね。
巻 ぼくはやったほうがいいと思います。実際にビジネスやっちゃうとそっちに時間取られたりしちゃうから。
ただ、社会課題に向き合うのはおすすめですね。ぼくはプロになってすぐ、ホームスタジアムに『巻シート』を作ったんです。地元の福祉施設の子どもたちを中心に毎試合招待していて、海外クラブに移籍してからもずっと続けていた。プロアスリートであれば、そういうところからスタートして、社会に還元するためにエネルギーを使っていけばいいと思います。
加地 アスリートだからこそできることから、ということやね。
巻 チャレンジしていくことが大事なんですよね。例えば、ぼくが復興支援活動にあまり有名じゃない選手を連れてこうとすると、本人は「ぼくなんて誰も知らないでしょ」って遠慮してしまう。だけど、いざ行ってみていろんな人に「また来てね」と言われるとやりがいを感じている。やっぱりアクションを起こすことが、すべての第一歩なんですよ。
加地 ぼくのカフェも、「おいしいものを提供したい」とか「居心地のいい空間をつくりたい」とか、人のためになることが第一。そう考えると、全部いっしょやね。巻は一人で苦しみながら、今後も頑張ってください(笑)。
巻 苦しみながら頑張ります(笑)。ありがとうございました。
巻さんのさまざまな活動や思いが明かされ、加地さんも「イメージがガラッと変わった」と話した本対談は笑顔で幕を閉じた[写真]中野賢太
text:元川悦子
photo:中野賢太
※人物の所属および掲載内容は取材当時のものです。











