dodaのスポーツ求人

生涯スポーツとしてソフトボールを広めたい

塚原 弘珠さん

ミズノ株式会社 ダイアモンドスポーツ事業部 事業企画販促部 事業開発課 ソフトボール事業担当

野球やソフトボール経験者なら、「ミズノ」を手にしたことのない人はいないだろう。プレーヤーでなくてもその名を知るミズノブランドを支える一人が塚原弘珠さんだ。女子日本代表に同行し、2008年には金メダルの瞬間に居合わせた。一方で、日本全国のチームや学校を訪問する地道な業務もこなしてきた。その両方に共通するのは、かつての自分のように競技に打ち込む人たちを「応援したい」という思いだった。

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    ソフトボール販促を担当するエリアは東日本全域。「担当するチーム数はちょっと数えられません」とのこと[写真]本人提供

    お客さまのコミュニケーションが仕事

    ———ミズノのソフトボール用品と言えばトップブランドです。そのなかで塚原さんはどのような業務を担当されているのでしょうか?

    ミズノはスポーツ店などの得意先に対しての卸業務がメインなのですが、私はその先のお客さまと接触をする業務をしています。ソフトボールチームを実際に訪問して、ミズノの商品を知っていただき、ご購入を検討していただくということですね。新製品が出ればご紹介に伺いますし、逆に商品の感想やリクエストを聞くこともあります。いろいろな雑談をしながら、商品に関するご相談を受けられるような関係を作ることがメインの仕事になります。

    ———現在は何チームくらいを担当していらっしゃるんですか?

    ソフトボールの販促部員は2人いまして、私が東日本の担当、もう1人が西日本の担当です。東日本全域なのでチーム数はちょっと数えられないのですが、実業団チーム、大学、高校くらいまでのチームを担当しています。コロナ禍さえなければ、毎日のように外出しているところですね。平日は各地のチームを回りますし、土日は大会がありますから、大会訪問や試合訪問をしていました。大会に行くと何チームも集まっているので、一気にみなさんに会えるんです。ほとんどの監督さんは私のことを知っていただいていると思います。

    ———ソフトボール女子日本代表の担当もされていると聞きました。女子日本代表のサポートというのは、どんな役割なのでしょうか?

    女子日本代表は当社がオフィシャルサプライヤーとして関わっていますので、弊社の商品を選手に使っていただいて、アピールしていただくことが目的ですね。業務としては、代表の活動にスタッフとして同行して、チームが使う用具、選手のみなさんが着用するウエア、すべてを発注・納品します。ウエアは選手それぞれに採寸をして各個人用に発注しますし、グラブなどもみなさんこだわりがありますから、一人ずつ対応をします。専門的なところは企画担当者や工場のスタッフも協力して対応しますね。

    ———選手一人ひとりとコミュニケーションを取る作業があるんですね。

    選手それぞれに細かい注文があって、例えばピッチャーだとグラブの重さによって投げるバランスが変わってくるので、グラム単位で重さの調整をします。大きさや革の種類など、ポジションによってこだわる部分も違ってきますから、そういうところを全部聞いて調整します。良いことも悪いことも言ってもらわないと商品に反映できないので、普段から何でも話してもらえるような関係を作るように意識しています。

    ———特に仲が良い、関係の深い選手はどなたですか?

    「ミズノブランドアンバサダー」契約している選手とはよく話します。ただ、女子日本代表は年齢層も幅広いので、特定の選手にコミュニケーションが偏らないようには気をつけていますね。本当に何でも話せる間柄ではあると思うんですけど、やはりメーカーの人間ですから、バランスに気をつけながら接するようにしています。

    商品理解、選手とのコミュニケーションなど、ソフトボールの競技経験が仕事にも活きている[写真]本人提供

    印象深い金メダルの瞬間

    ———塚原さん自身も、もともとソフトボール経験者だとお聞きしました。大学までプレーされていたそうですね。

    最初は特にソフトボールをやりたいと思っていたわけではなくて。中学生のとき、たまたま仲の良かった友だちがソフトボール部に入るというので、一緒に行ってみたら私たちの学年から6人くらい入らないと廃部になってしまうという状況だったんです。「かわいそうだから入ってあげよう」と思って始めたのが、思いがけずその後も高校、大学まで続くことになりました。

    ———当時から、いずれはミズノのようなスポーツメーカーで働きたいと考えていたのでしょうか?

    いえ、最初は教員を目指していたので、大学も教員免許を取れる環境を条件に選びました。

    実際、大学では教員免許を取得したのですが、教育実習で母校に戻ったとき、自分が先生になって子どもたちの指導する姿が現実的に考えられなくて。一度社会に出て人生経験を積むべきだと感じたんですね。教育実習の前に、ミズノに勤めているソフトボール部の先輩から話を聞いたこともあって、ミズノを志望しました。

    ———入社されたのが2004年。そのときからソフトボール事業を担当されたのでしょうか?

    そうですね。ずっと変わらず販促の仕事をしています。入社のときから一人で東日本を担当していまして、3、4年くらい経ってからもう一人増えて、私は女子日本代表の仕事をメインでやらせてもらっていた期間がありました。今はその後輩が産休、育休でお休みを取っているので、一時的に私がすべて担当しています。

    ———長く担当されて、お客さまと良い関係性を築けていることが仕事上の強みになっているのでは?

    そう思います。最初のうちは覚えてもらうことが第一だと思って、それこそ何の用事もないのに何回もグラウンドにお邪魔して、ちょっとしたことでも必ずチームを訪問することを心がけていました。実際に会って、相手の表情を見てお話しすることが大事だと思います。

    ———大学までソフトボールを続けてこられた経験も仕事に活かされていますね。

    当時の仲間に今も助けられていますし、選手とコミュニケーションを取るときも共感できることが多いですね。新製品のバットが出たら自分で試し打ちもしますから、自分が扱う商品をより理解できていると思います。自分が経験してきたことが仕事になっているのはありがたいな、とよく思います。

    ———日本代表のサポートのお仕事では、印象深い思い出はありますか?

    北京オリンピックですね。ミズノはオフィシャルサプライヤーとして日本代表をサポートしていましたから、決勝戦で全員がミズノのバットを握って試合に臨んでくれて、金メダルという結果もついてきて。選手たちが金メダルをかけて表彰台に上がったときは、この仕事をやっていて良かったと思いました。ただ、どんな大会でもチームが活躍して、ありがとうと声を掛けてもらうときはうれしいですよ。

    新製品は「自分で試し打ちをします」という近藤さん。最新の用具は「自分がプレーしていた時代とは比較にならないほど高性能になっている」と語る[写真]ミズノ株式会社

    競技スポーツから生涯スポーツへ

    ———塚原さんのお仕事には、どんなタイプの人が向いていると思いますか?

    自分が表に出たいタイプよりも、他人を応援したい、元気にしたいと思うような方が合っていると感じますね。一緒に働くなら、ピンチの場面であってもプラスに考えられる前向きな人がいいと思います。今の職場だと、自分がつらい状況でも周りの人が笑い飛ばしてくれて、助けてくれる雰囲気があるので、自分も少しずつそういうタイプになってきました。

    ———今の仕事を担当されている間に、何か転機になったことはありましたか?

    同じ業務を続けているので、基本的なところはあまり変わっていないような気がします。ただ、2008年の北京オリンピックのあと、ソフトボールは正式競技から外れたんですね。最高峰の大会だったオリンピックがない時代に、ソフトボールをもっと普及させたり、人気を保ったりするにはどうしたらいいのかなと考えるようになりました。それまでは競技スポーツを対象に一生懸命やってきましたが、趣味として楽しんでいらっしゃる方にも商品をご紹介できるようにしたいと。

    ———そういう意味では、東京オリンピックは開催都市提案による追加種目としてソフトボールが復活していますから、ソフトボール業界にとって重要な年ですね。

    そうですね。ソフトボール自体はアマチュア競技ですから、オリンピックが無事に開催されればみなさんに認知していただくいい機会だと思いますし、選手たちには頑張ってほしいと思います。ただ、繰り返しになりますが、ソフトボールは生涯スポーツという面もあります。お子さんでも、お年を召した方でも楽しめる素晴らしいスポーツという部分もより広めて、普及していってほしいと思っています。

    ———競技人口のなかでシェアを広げるよりも、競技人口そのものを増やすということですね。

    そもそも、ソフトボールにおけるミズノのシェアはかなり高いです。野球よりも高くて、たぶんほかの業界から見れば取りすぎだと思われるくらいです。そうなるとシェアの数字よりも、競技人口が減っていることのほうが課題なんですね。今後はよりソフトボールに興味を持ってもらえるような活動にシフトしていくことが目標になると思います。特に最近はソフトボールをプレーする場所も少なくなってきているので、そういう空間をもっと提供するような活動を広げたいですね。

    ———実際にミズノとして何か活動していらっしゃることはありますか?

    コロナ禍のために最近は活動が難しいのですが、当社がスポンサードしている「ミズノカップ」という大会を開催しています。エリアによって小学生の大会だったり、中学生の大会だったりと内容はさまざまなんですが、ソフトボールをプレーする機会を増やす目的ですね。ほかにも、チームや自治体がソフトボールのクリニックを開催するときにご協力しています。

    ———塚原さん個人としての、今後の目標はどのようなものでしょうか?

    仕事としては、一番華やかなメインの現場を担当させてもらってきましたから、今後は若い世代にシフトして、私は違う場所から支える役割をできればと思っています。ずっと現場を回る仕事で忙しくしてきたので、もう少しゆっくりと、いろいろなスポーツを応援しに行ったりできたらいいなと。

    ———ちなみに、日本中の現場を回ってこられたと思いますが、まだ行っていない県はありますか?

    47都道府県すべて行きました。そう言うとみんなから「いいな」と言われますけど、観光の時間はないですから。これからはもうちょっとゆっくり、いろいろなところを回りたいですね。

    今後は「生涯スポーツ」としてのソフトボールの魅力を広く知ってもらうことが目標だという[写真]本人提供

    interview & text:dodaSPORTS編集部
    photo:本人提供

    ※人物の所属および掲載内容は取材当時のものです。

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