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もっと関心を持ってもらい ゆくゆくは“稼げるクラブ”に

渋谷 美香さん

株式会社横浜ビー・コルセアーズ 企画運営部

クラブ創設2年目の2012年にインターンとして横浜ビー・コルセアーズの一員となり、一般企業の内定を断ってフロントスタッフとして働く道を選んだ。営業以外のすべてのセクションに携わり、現在はファンクラブ担当と運営担当の両部門を一手に担う。軌道に乗り始めたBリーグクラブで職務に励む渋谷美香さんは「バスケットボール界を代表するビッグクラブにしていきたい」と自らを奮い立たせる。

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    中学時代はプレーヤーとして、高校時代はマネジャーとしてバスケに打ちこんだ[写真]山口剛生

    内定を断りクラブに就職

    ———どういった経緯で横浜ビー・コルセアーズで働くようになったのでしょうか?

    大学3年生のときからインターンでお手伝いさせていただくようになり、その流れで入社しました。インターンを始めたのも、そのときちょうど就職活動を始める時期で、スポーツ業界に触れてみたい思いがあり、タイミング良くクラブがインターン募集をしていてお世話になることになりました。それがクラブ創設2年目(2012年)で、人手が足りなかったのもあって、翌年、大学4年の年末に声をかけてもらい正式にクラブスタッフになりました。

    ———ほかの企業に就職する道もあったと思います。

    ほかの学生と同じように就職活動をして、内定ももらいました。ただスポーツ業界に行けるのは今しかないなと思って。スポーツ業界は「狭き門だ」と聞いていましたし、自分が好きなバスケットボールに関われるチャンスもなかなかないなと。今を逃したらもう行けないんじゃないかと思い、内定を断ってクラブに残りました。

    ———もともとバスケットボールのプレー経験などがあったのですか?

    はい。小学生、中学生時代はプレーヤーで、高校も女子バスケ部のマネジャーをしていました。大学時代は縁がなかったんですけど、バスケットボールはずっと好きでした。

    ———インターン時代はどんな業務に関わっていたのでしょうか?

    いろいろやらせてもらいましたね。ファンクラブ関連、チケット関連、試合運営、それと広報もちょっと。営業以外はひと通り関わらせてもらいました。

    ———社員になった2014年からはどんな業務を担当してきたのでしょうか?

    今もそうなんですけど、主にファンクラブと運営の2つです。入社した当初はみんながいろいろなことを兼任していましたけど、今は人も増えてきて縦割りというか、一部兼任するところもありますけど、それぞれが自分の仕事に集中できるようになりました。

    ———スポーツクラブは労務環境が厳しいイメージがあります。

    シーズン中は残業することもありますね。特にシーズン開幕前やホームゲームの前は忙しくなります。通常は10時出社、19時退社なんですけど、ホームゲームの設営や撤収作業があって終わるのが21時とか、ごくまれにもっと遅くなるときもあります。

    試合運営では両チームのマネジャー、施設とやり取りをする[写真]山口剛生

    FC会員は2,700人まで到達

    ———それぞれの業務についてお聞きします。ファンクラブ担当としては具体的にどんな業務を担っているのでしょうか?

    会員の皆さまに向けての施策作りとお知らせ、情報管理です。うちのファンクラブはプラチナ、ゴールド、レギュラーと3つのカテゴリーがあって、高価格設定のプラチナはいろいろな優先権だけでなく、ほかのカテゴリーより選手と触れ合える機会を多く提供できるような設計をしています。2つ目のゴールドと3つ目のレギュラーも優先権を提供しつつ、チケットの枚数やグッズなどでゴールドがよりお得になるようにしています。

    ———2011年のクラブ創設時からファンクラブの会員数はどう推移していますか?

    入社した当初はおそらく500人から600人ぐらいでした。チームは強かったんですけど(苦笑)。それから少しずつ伸びて、Bリーグ開幕前は1,500人まであと少しというところまでいき、開幕してからは一気に2,000人を超えました。それからも増え続け、昨シーズンは2,700人まで到達しました。

    ———運営担当としては日々どんな業務に取り組んでいるのでしょうか?

    自クラブと他クラブの、チームのマネジャーとのやり取り、施設との調整を行っています。試合当日にお手伝いしてくださるボランティアさんの募集や取りまとめは別の者が担当しています。

    ———マネジャーとはどんなやり取りがあるのでしょうか?

    相手チームのマネジャーとは試合の1カ月ほど前からやり取りしています。試合当日のスケジュールをお伝えして、いつ練習するか、備品は何が必要かなどを確認しています。自チームのマネジャーにもスケジュールを伝えつつ、選手が関わるイベントがあれば事前に協力をお願いしたりしています。

    ———では施設とはどんなやり取りをしているのでしょうか?

    事故などが起こらないよう試合当日のスケジュールを事前共有しています。何時にスタッフが入って、何時にどういうイベントをやって、何時に撤収して、というのをお伝えしています。それと、翌シーズンの会場確保も随時進めています。ホームアリーナが使えない状況は絶対に避けないといけないので、かなり早い段階から日程を押さえています。

    ———ボランティアは1試合当たり何人ぐらい参加されているのでしょうか?

    今シーズンはすごく増えて、毎試合50人から60人、多いときは70人ぐらいお越しいただいています。Bリーグ1年目(2016-17シーズン)は30人から40人ぐらいだったので本当に増えましたし、いつも助けていただいています。

    横浜ビー・コルセアーズは2016-17シーズンのB1残留プレーオフ1回戦、秋田ノーザンハピネッツ戦3戦目で、川村卓也(上)の逆転シュートで劇的な勝利を飾り、B2降格を免れた[写真]B-CORSAIRS/T.Osawa

    常識を覆す変化が欲しい

    ———ファンクラブと運営を担当していて、特に大変さや難しさを感じることは?

    ファンクラブでは個人情報の管理にかなり気を使っています。そこは当然のことなんですが、ただそこに力を使いすぎて、ほかのプラスアルファのサービスまで手を伸ばせないという難しさを感じています。運営ではもともとの予定と変わることがざらにあって、例えば直前でタイムスケジュールが変わったり、違う動線から人が入ってきたりして、少し大変ですね(苦笑)。

    ———一方でスポーツ業界ならではの楽しさもあると思います。クラブで働くことの一番の魅力は?

    お客さんと接する機会がすごく多くて、貴重な経験をさせてもらっていると思います。いろいろなことを言われますけど、好意的なことを言ってもらったときはすごくうれしいですし、9割大変でも1割そういう部分があるのでがんばれます(笑)。インターン時代の2012-13シーズンのbjリーグで優勝したときは私自身もうれしかったですし、喜んでいるお客さんを間近で見ることができました。そういうところは中毒的になりますし、スポーツならではの楽しさ、面白さだと思います。

    ———特に印象に残っている仕事はありますか?

    私の仕事というより、記憶に残っていることなんですけど、Bリーグ1年目(2016-2017シーズン)のB1残留プレーオフ1回戦、秋田ノーザンハピネッツ戦は忘れられない思い出です。フロントスタッフみんなで車で秋田まで行き、1戦目に勝って2戦目あと少しのところで負けて。3戦目の前に、ルール確認があってロッカールームに行ったんです。負けたらB2降格という状況で、選手たちは何としてでも勝とうと話し合っていました。

    シーズンを通して選手たちががんばっているところを見てきましたし、フロントスタッフもみんな緊張しながら見守っている中、3戦目の最後の最後で川村卓也選手(現シーホース三河)が逆転となる3ポイントシュートを決めて劇的な形で勝利しました。あの場面では泣いちゃいました、もうホッとして(笑)。

    ———そうした激闘を経て、現在もB1で奮闘するクラブを今後どう成長させていきたいですか?

    Bリーグが始まってクラブの認知度が高まってきましたけど、まだまだ知られていないですし、大都市横浜をホームとしながら観客動員数もやっと3000人前後という状況です。まずは横浜ビー・コルセアーズというチームをもっと知ってほしいですし、もっと関心を持ってもらえるようにしたいです。その上でゆくゆくは“稼げるクラブ”に、バスケットボール界を代表するビッグクラブにしていきたいです。

    ———自身のキャリアにおいて思い描いていることはありますか?

    私はこのクラブしか知らないので、ほかの世界を見てみたいという思いもあります。違う環境でチャレンジして、新しいものを吸収して、このクラブに戻ってきて貢献できればなと。ファンクラブについては正直課題を感じていて、うちには絶対的なものがないなと思っているんです。いろいろなものを学んで、アイデアの引き出しを増やして、そうしたものを作っていきたいですし、まずは自分の今までの常識を覆すような変化が欲しいなと。

    ———戻ってくるところまで考えているところにクラブ愛を感じます。

    何だかんだ言ってこのクラブが好きなんです。応援してくれるファンの方々も好きですし、横浜という土地も好きですし。9割ぐらいはつらいですし(笑)、長年やってきた積み重ねによる気持ちかもしれないですけど、やっぱりこのクラブが好きなんですよね。

    自身とクラブのステップアップのため、「ほかの世界」にも意識を向ける[写真]山口剛生

    interview & text:dodaSPORTS編集部
    photo:山口剛生

    ※人物の所属および掲載内容は取材当時のものです。

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