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大事なのは「発想の転換」

園部 健二さん

パシフィックリーグマーケティング株式会社 事業開発本部 本部長

スポーツ業界で活躍する著名な方をお招きし、大浦征也doda編集長とのトークを通じて”スポーツ×ビジネス”で成功する秘訣をひもといていく「SPORT LIGHT Academy」。2019年12月12日に行われた第9回のゲストは、パシフィックリーグマーケティング株式会社(以下、PLM)で事業開発本部長を務める園部健二さん。スポーツ業界に足を踏み入れた経緯や、自身の経験を踏まえたスポーツ業界への転職アドバイスを語ってもらった。

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    入社わずか2年ながら数々の事業を立ちあげてきた園部さん[写真]山口剛生

    まったく異なる業界から転職

    PLMは、パシフィック・リーグに加盟する6球団の出資で設立された合弁企業。プロ野球だけでなく、サッカーやバスケットボールなど、さまざまなスポーツの競技団体と協業している。園部さんは2017年にPLMに中途採用で入社したが、前職はまったく別の業界だったという。そのためか、今回のイベントには同じように別業界からスポーツ業界を目指す社会人が多く参加。スポーツ業界で働くためのヒントを聞き逃さないよう熱心に耳を傾けていた。

    園部さんは中学まで硬式の野球クラブに所属していたが、高校では野球を続けなかったそうだ。それからは、スポーツは趣味で草野球をやる程度だった。ただ、好きではあったので、新卒での就職活動時はスポーツの業界の求人も探したが、特にピンとくるものもなかったこともあり、スポーツとは関係のない企業に入社。

    しかし、その会社が年内で倒産することが確定し3カ月で退職した。次に好きなことを仕事にしようと、スポーツと同等に好きだった音楽を扱う出版社へ。そこでの仕事は楽しかったが、高収入を求めてゲーム会社に転職した。

    ゲーム会社では海外事業のセールス&マーケティングなどを担当し、責任ある仕事を多く任された。自社の製品を少しでも多くの人に届けたい、会社に貢献したいという強い気持ちで仕事に励んでいた。しかしそもそもゲームに興味がなかったため、同僚たちと同じモチベーションでは働けなかったという。

    「ずっと野球漬けの少年時代でゲームをまったくやってこなかったので、自分が売る商品にどうしても興味が持てませんでした。皆さん良い人ばかりで、私自身も一定の評価をいただいていたので、人間関係と出世みたいなものがやりがいだったのですが、数年やっていくにつれて、興味がないものでそれなりのパフォーマンスを発揮できるなら、興味があるものならもっとパフォーマンスを発揮できるのではないかと考え始めたのです。

    そこで『楽しめる仕事がしたい』と転職を決断して、たまたま目にしたのがPLMの求人でした。野球が好きだったのもありますけど、PLMなら野球界全体、さらにはスポーツ業界全体が対象となる幅広い仕事ができると思いました」

    紆余曲折の末、念願のスポーツ業界に足を踏み入れた園部さん。別の業界からの転身ではあるが、根底には幼少期から慣れ親しんだ「野球」に対する強い思いがあった。

    「楽しめる仕事がしたい」との思いで転職を決断[写真]山口剛生

    好きだけでは難しい

    野球経験があるとはいえ、仕事としてのスポーツ業界は未経験。普通なら経験者を採用しそうなものだ。しかし、大浦編集長によると「実際はエキスパートではなく意外と普通のビジネスパーソンが採用されることも多い。特殊な能力や人脈がなくてもチャンスはある」とのこと。

    また、野球経験の有無も採用に影響したのか気になるところだが、園部さんいわくまったく関係がないそうだ。

    「現在自身でも採用面接をしていますが、野球経験は採用には関係ありません。自分がビジネスとしてこれまでにやってきたこと、それを基にこれからできること、したいことを踏まえ、会社にどれだけの利益貢献ができるかを話しただけです。ただ、社長である根岸(友喜)がどのような人物なのか事前に調べ、どのようなキャラクターなのか、経歴なのか、そしてどのようにアプローチをすべきなのかなどの準備は多少したと思います」

    スポーツ業界を目指す人の中には、面接時に自分がそのスポーツがいかに好きかをとうとうと語る人が多いが、「これは逆効果」だと大浦編集長は話す。「ビジネスの視点がないと入れない」と園部さんもこれに同意。大事なのはその会社を理解し、自分に何ができるかを考えること。その業界と自分の好きなことが合致するのも重要だが、ただ好きなだけではだめだということだ。

    では、スポーツ業界に転職するためにはどのようなことを意識するといいのだろうか。園部さん自身の経験、また新規事業として立ちあげた人材紹介事業『PLMキャリア』の状況を踏まえたアドバイスを求めたところ、次のように語った。

    「自分のキャリアと募集職種が一致していないと難しいでしょう。例えば企業側は営業が欲しいのに、求職者側が人事畑で育った方であれば、どれだけ熱意を持ってアピールしても可能性は低いと思います。おかげさまでスポーツ業界は応募者数が多いので、それであれば職種経験がある方に軍配が上がると思います。

    業界はそこまで関係ないですし、募集している職種と経験の合致が重要かなと。あと、スポーツ業界は会社規模があまり大きくないので、社員一人が複数の役割をこなすことも多い。そのため、複数の職種の経験があれば有利になることもあります」

    業界は未経験でいいが、職種が未経験では厳しい。先ほども挙がったが、ただそのスポーツが好きなだけでは入ることは容易ではない。大浦編集長も「スポーツ業界に入りたいのなら、合致する職種の経験を身につけてからにすべき。広報がしたいのなら、まずは別のところで広報の業務を経験するなど、キャリアを積むべきです」と参加者にアドバイスを送った。

    どのような職種であってもビジネスの視点が必要[写真]山口剛生

    大事なのは発想の転換

    続いて園部さんの仕事内容が話題になった。園部さんの所属するPLMは、パシフィック・リーグに加盟する6球団の出資で2007年に設立された会社。「1球団ではできないことや、6球団でまとまったほうがいいこと」に取り組む会社だという。

    園部さんの仕事は、プロ野球のファンを増やすことや、スポーツ業界全体の市場拡大に貢献できる事業を新しく生み出すこと。新しいものを生み出すのはそう簡単ではないが、園部さんは既存の動画配信プラットフォームを利用した女子プロ野球の試合のLIVE配信や、パーソル パ・リーグTVオリジナルコンテンツの飛行機内上映、人材事業の立ちあげなどを実施。これまで手をつけていなかった分野や業界と手を組み、さまざまなプロモーションも担当してきた。最近では、パ・リーグ3球団のセカンダリーチケット事業にも携わったという。

    では、こうしたオリジナルの事業を立ちあげる秘訣は何なのだろうか。イベント後半に設けられた質問タイムで、営業職に就いている参加者から「普段から心掛けていること」を聞かれた園部さんは次のように語った。

    「大事なのは『発想の転換』です。例えば、何か欲しいものがある場合、通常ですとそれを発注して手に入れると思います。しかし、その欲しいものを我々が手にし、発注先の企業にもベネフィットを創出することで、発注先に我々のスポンサーになっていただくなど、逆に売り上げを手にすることができることもあるのです。そのためにも、普段から新たな気付きを大事にしています」

    「こうした発想の転換ができるのは、スポーツ業界などファンを保有しているビジネス特有のものであるかもしれません。ほかの業界と若干異なるのは、スポーツ業界はファンの皆さまがいてくださって、コンテンツに付加価値があることです。営業であれマーケティングであれ、どんな職種でもそこを意識してビジネスをしていくことが重要になると思います。特に新規事業を立ちあげる場合には、そこの付加価値をどのように活用するかが欠かせないと思っています」

    園部さんの実例を交えた話に、参加者たちも大きくうなずいていた。

    イベントの最後に、あらためてスポーツ業界への転職のヒントを聞かれた園部さんはこう締めくくった。

    「まずは企業や球団の社風や目指している方向性が自分と合致していることが大事です。その上で、募集職種に対して、自分が積み重ねてきたキャリアでこんなことができる、例えば営業だったら、自分にはこれだけ稼ぐロジックがある、といった強みを面接で話せば採用される可能性が高いと思います。そのためにも、まずは自己分析をしっかりするのがいいですね」

    スポーツ業界への転職を支援する両者はともに業界活性化を目指す[写真]山口剛生

    text:dodaSPORTS編集部
    photo:山口剛生

    ※人物の所属および掲載内容は取材当時のものです。

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