ITの力で多くの方にスポーツを楽しんでほしい
片岡 基さん
データスタジアム株式会社 フットボール事業部兼テクノロジーマネジメントチーム プロデューサー
企業向けのシステム受託開発会社で設計・開発・運用を17年間手がけるなか、「自分がやりたい仕事をしたい」という思いで一念発起。2017年7月にデータスタジアム株式会社に入社し、スポーツに関わる仕事に携わることとなった。現在はより良い「スポーツ×IT」の世界を作ることを目標に、やりがいに満ちた環境で業務に取り組んでいる。
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「興味のある分野での仕事」を求めてデータスタジアムに入社[写真]幡原裕治
サッカー業界の中心にいる
———これまでのキャリアを教えていただけますか?
データスタジアムで働く前は、企業からの受託でシステムを開発する会社で17年間、プログラミングやシステム開発をしていました。この業界はすごく進歩が早くて、それこそスマホとか、新しいものが次々と出てくるんです。
すごく興味深い分野だったんですけど、ずっと同じ会社で働いていると、どうしてもマンネリのようなものが出てきてしまいました。いろいろな業種の仕事を担当するので、変化がないわけではないんです。けれど、あくまで受託開発でお客さんありきの仕事なので、自分がやりたいことばかりができるというわけではありませんでした。
そのなかで、「この技術を使って自分が興味のある分野の仕事をしたい」という思いが生まれてきました。そのとき、ちょうどデータスタジアムがエンジニアを募集していて、「これしかない」という気持ちで応募し、2017年7月に入社することとなりました。
———データスタジアムでは興味のある分野で仕事ができると感じたんですね。
そうですね、もともとサッカーが好きだったので。あの“ドーハの悲劇”があった1993年ごろ、日本代表がアメリカ・ワールドカップに行けるかもしれないということで、国内でサッカーが盛り上がっていました。
ぼくもそのころからサッカーを見始めて、同時期にJリーグも開幕したことで一気にファンになりました。埼玉出身なので地元の浦和レッズを応援して、どんどんのめり込んでいきました。そんな大好きなサッカーの仕事が、データスタジアムではできると思ったんです。
———一見あまり縁がなさそうな「IT」と「サッカー」という分野ですが、それを仕事にするイメージは持っていたのでしょうか?
仕事として考えたことはあまりありませんでしたが、まだ前の会社に勤めていたころ、スマホが普及してきたタイミングでサッカー関連のアプリを開発したことがあります。当時はサッカーに関するさまざまなデータを見ることが趣味だったのですが、もっと効率良く情報を探すことができないかと考えて、そのためのアプリを自分で作ったんです。
仕事ではなく完全にプライベートでの作業でしたが、自分が持つ技術と「サッカー」が結びついた初めての体験でした。そういう意味ではデータスタジアムで働く前から、「スポーツ×IT」という考え方は持っていたのかもしれません。
———現在の業務は前職と比べてどのように変わりましたか?
現在はフットボール事業部に所属して、サッカーに関するシステムを担当しています。弊社の仕事は大きく分けて、メディア向けとクラブ向けのものがあります。私は後者のほう、クラブが試合を分析するためのツール、システムを作っています。
業務的には前職とあまり変わりがありません。どんなシステムを作るか設計して、開発して、テストをして、運用する。ただ、その対象が今はサッカーというものに限定されてることが大きな違いになります。
自分の考えたアプリケーションが実際にクラブの監督やコーチの皆さんに使われて、それがクラブの強化に活かされている。特にサッカーにおいては、業界の中心で仕事をしているという感覚が強いです。それが非常にうれしく、やりがいになっています。
「サッカーに関わる」ことが大きなやりがいになっている[写真]幡原裕治
「使いやすい」の声が力になる
———具体的にはどのような業務をされているのでしょうか?
プログラミングと一言で言っても非常に幅が広いのですが、端的に言うと最初にあるのは「設計」という段階です。そのアプリやWebサイトにどのような機能を配置するのかを考えます。その次は、それを実現するための「構成」を考えます。サーバは何台必要なのか、容量はどれくらい必要かなどですね。
その後は実際に「プログラミング」の作業に入り完成させる、という感じです。現在の私の業務は実際にプログラムを組む作業ではなく、その指示出しやマネジメントに関するものが多いです。
———サッカーとの関わりという点では、どのような業務があるのでしょうか?
Jリーグのクラブに向けた『Football BOX』というシステムを開発し、提供しています。簡単に言うと、試合の動画をいろいろな尺度で見ることができるシステムです。
サッカーはシュート数やパス数が何本なのかとか、そういった数字が競技力向上を目指す上で重要な意味を持つ競技です。そうした細かいデータを集約し、閲覧しやすいようにまとめて、クラブの強化に役立ててもらっています。
例えばある選手がドリブルしたシーン、クロスを上げたシーン、シュートしたシーンなど、一つひとつのプレーを細かく分類して、それを簡単な操作で呼び出すことができるシステムになっています。
———そこまで細かい分類となると、作業量も膨大になりそうですね。
そうですね。データ入力担当を1試合あたり3人配置して、その収集に十数時間かけています。今のプレーはどのプレーに該当するのか、そういった判断はどうしても専門的な視点が必要なので、現状は手作業で行っています。
一番時間がかかるのはその分類が正しいかどうかのチェックですね。データの精度には非常にこだわりを持って作っています。
———クラブ側、選手側からのフィードバックなどは?
実はこのサービスは2019シーズンにリニューアルしたばかりなんです。それまでは別のシステムを使っていて、そこから利便性を上げるために試行錯誤して、できあがったのが『Football BOX』になります。
クラブの方からは「前のシステムと比べてすごく使いやすくなった」というフィードバックもいただいています。新たにスマホでも使える仕様にしたことで、非常に好評をいただいています。スマホ対応を含めた使いやすさの向上が今回のリニューアルの肝で、細かく説明されなくても使えるような構造にしました。
これまでのシステムは専門性が高く、クラブ内でも少数のスタッフしか精通していないということも多かったんです。その敷居を下げて、より多くの方が利用できるようになったと思います。
———クラブからのフィードバックなどがあると、よりサッカー業界で働いているという実感が強くなりそうですね。
そうですね。いちサッカーファンとしても、関係者の方からフィードバックがもらえることはとてもうれしく、モチベーションにつながります。直接クラブの方とお会いすることはあまりないんですけど、現場から「使いやすい」という声が届くたびに、この仕事をして良かったと感じます。
今は主にクラブスタッフの皆さんからの声が多いのですが、スマホでも利用できるようになりましたし、今後は選手の皆さんも利用できるようにしていきたいと思います。
細かく分類されたデータをクラブに提供している[写真]データスタジアム株式会社
目標は海外進出
———スポーツ業界に入って驚いたことはありますか?
テクノロジーという分野がサッカーだけではなく、バスケやラグビー、卓球、ゲートボールなどにも広がっていることです。
さまざまなスポーツが「スポーツ×IT」という考え方にシフトしていて、例えば柔道でも「右手で奥襟を取った回数」とか「前襟を取った回数」などを細かくデータ化しています。そこまで多くのスポーツに広がっているとは、この業界に入る前は想像していませんでした。
———片岡さんが感じるこの仕事の魅力とは?
選手やクラブと関わりを持って、彼らが実際に試合で見せるパフォーマンスに、自分の仕事が影響を与えるかもしれないということが一番の魅力だと思います。
また個人的には、自分のやりたい仕事ができることは大きいです。先ほど説明したシステムのリニューアルには入社してから一番力を注いだのですが、自分がやりたい仕事ができたと感じています。
———今はどのような業務に取り組んでいるのでしょうか?
これもJリーグの仕事なのですが、最近競技規則が変わってベンチに電子機器が持ちこめるようになったんです。2018年にロシアで行われたワールドカップでも、各国が電子機器を使ってさまざまな分析をする姿が見られました。これをJリーグでも導入できるように、試合をリアルタイムで分析できるアプリケーションを開発しています。
実はすでに現場で運用もされているのですが、課題も多く、フィードバックをもらいながら随時アップデートしている状況です。
———この仕事における夢や目標はありますか?
現在は日本国内のプロに向けた仕事が主なのですが、ゆくゆくは海外のクラブとも仕事をしていきたいと思っています。また、プロだけではなく学生を含めたアマチュアの層にまで、我々のシステムを提供できるように広げていって、スポーツをより多くの方に楽しんでもらう力になることが目標です。
———片岡さんがこの業界で一緒に働くとしたら、どのような人がいいですか?
スポーツ一色の仕事なので、当たり前かもしれませんが、スポーツが好きであることが第一だと思います。その上で、より良い「スポーツ×IT」の世界を作るという目標を持った、上昇志向のある方と一緒に仕事がしたいですね。
高いモチベーションでより良い「スポーツ×IT」の世界を目指している[写真]データスタジアム株式会社
interview & text:dodaSPORTS編集部
photo:幡原裕治
※人物の所属および掲載内容は取材当時のものです。










