楽天生命パーク宮城で試合観戦 スタジアムで牛たんが食べられる席へ(後編)
楽天イーグルスの本拠地、楽天生命パーク宮城はボールパークのようなスタジアム。
牛たんを食べながら試合観戦も出来るほか、グッズショップをはじめさまざまなエンターテインメント要素があり、まるでテーマパークのよう。
実際に訪れ、その魅力をお伝えします! また、楽天野球団の方にインタビューも。
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楽天野球団の人に聞いてみた
翌日、東北楽天ゴールデンイーグルスの運営をされてらっしゃる楽天野球団の川田さんにお話を伺わせていただいた。
楽天生命パーク宮城の球場長。川田喜則さん。偉い人です。
マキヤ 「よろしくお願いいたします。昨日球場に行ったのですが、自分が抱いていた球場のイメージとだいぶ違って、試合前から楽しかったです」
川田さん 「ありがとうございます。楽天野球団の『ボールパーク構想』で、スタジアムだけではなくその周辺も含めて楽しんでもらうというコンセプトがあるので、そう言っていただけてうれしいです」
マキヤ 「すみません、ボールパークというのは一体……?」
川田さん 「野球を楽しむ場所ですが、それだけでなく、アミューズメントパークとして成立するようにしています。メジャーリーグを年に何度も視察したり、野球以外のテーマパークなども参考にして、お客さまに楽しんでいただけるようにしています」
マキヤ 「たしかに、最初のゲート通っただけでワクワクしました。選曲も最高でした」
川田さん 「あの曲はアメリカのボールパークで定番の曲をアレンジしてます。いいですよね」
マキヤ 「ちなみに、超怖い鉄の橋を渡ったのですがあれはどうして生まれたんですか?」
川田さん 「おお、『EAGLE BRIDGE』を。お客さまに楽しんでいただく仕掛けの一つなのですが、『常に飽きさせない』というのを心がけてまして、ディスカッションの中で出た企画ですね」
マキヤ 「実際に実行されるのもすごいでよすね」
川田さん 「そうですね……そこのスピード感は結構あります。そういうのを楽しめたり、リーダーシップを持って導いてくれる仲間がもっと増えるといいなと思ってます」
マキヤ 「昨日、牛たんを食べながら野球を見られる席を利用させていただいたんですが、あれもすごかったです」
川田さん 「楽天生命パーク宮城は日本一、席の種類が多いと思ってます。いろんな席から試合が見られて、たくさんの楽しみ方があります。1人でもカップルでも、家族でも」
マキヤ 「おすすめの席ってありますか?」
川田さん 「すべておすすめですね!」
マキヤ 「強いて言うならこれっ!というものがもしあれば……」
川田さん 「そうですね……ほかの球場で味わえないのは、芝生にピクニックシートを敷いて観たり、観覧車で上から観たりでしょうか」
マキヤ 「あ、観覧車乗りました! 面白かったです!」
川田さん 「観覧車も飽きないように、外が見えないゴンドラとか、月替わりのゴンドラもあるんですよ。中のアナウンスも、選手がアナウンスをしたり、ただ単に乗って回るというよりは、選手が案内してくれるようなもののほうがお客さんも楽しんでいただけるかなと」
マキヤ 「いろんなところに仕掛けが施されているんですね! 川田さんはもともと球場系のお仕事をされていたんですか?」
川田さん 「……球場系? いえ、未経験からスタートました。以前は経理や財務の仕事をしていたので」
マキヤ 「業種が違うと、なんかうまく通じなかったりとかしませんか?」
川田さん 「大丈夫でしたね。ファンを増やして売り上げを増やして次に運用して……というビジネスのフレームワークは変わらないので」
マキヤ 「昨日行ってみて、子どもにウケそうだなと思いました。 次世代のファンたちってことですよね」
川田さん 「もちろん時代に応じて施策を変えています。今はコアファンが成熟し始めているので、新しいファンを獲得するフェーズですね。子どもたちやそのご家族。2世代、3世代のファン作りを目指して、そもそもの母数を獲得しようとしています」
マキヤ 「たしかに、家族連れとかにもかなりいいですね。ぼくも東京でほかの球場は行ったことあるんですけど、なんかあんまり楽しくなくて、もし家族ができても球場は行かないだろうなと思っていたので……」
川田さん 「それは球場や球団の方針によりますからね……弊社は試合を見てもらうというより、試合をエンターテインメントとして考えております」
マキヤ 「と、言いますと……」
川田さん 「『試合を見て、それで帰ってもらう』だとビジネスが成り立たないんです。試合の3時間前くらいから楽しんでもらって、試合のあとも1時間くらい楽しんでもらいたいなって」
マキヤ 「試合後も! やっぱり勝つと売り上げが違ったりするんですか?」
川田さん 「全ッ然違います!」
マキヤ 「(笑)。お祝いでビール飲んだりとかありそうですもんね。飲食店もすごくたくさんの種類があって」
川田さん 「楽天生命パーク宮城はほかの球場と比べて飲食単価が高いスタジアムなので……」
マキヤ 「そうですよね、やっぱり入るお店の審査とかも厳しいんですか?」
川田さん 「審査は非常に厳しいです。接客・クオリティ・待たせない・清潔・もちろん売り上げなども通信簿を付けて、それに相当しない店舗は申し訳ないですが退店していただいてます」
マキヤ 「ほかの球場って飲食店がそんなにないイメージなんですけど、どうして楽天野球団さんはここまでこだわるのでしょう……?」
川田さん 「スタジアムと球団の運営権が一緒というビジネススキームがあるからですね。例えば巨人が活躍して東京ドームでたくさん飲食を売り上げても、その利益は球団ではなく株式会社東京ドームに入るんです」
マキヤ 「そっか! 楽天野球団さんはスタジアムも球団も一緒だから……」
川田さん 「コミュニケーションもとりやすいですし、ビジネスの伸びしろがあると思います」
どんな人が向いているか
マキヤ 「お話を伺っていると、プロスポーツ界の仕事はビジネスの幅も広く面白そうだなと思うのですが、どういう人が向いている……とかありますか?」
川田さん 「ビジネス領域はもう、無限ですね。新しいことがどんどん生まれていくので、リーダーシップをとれる人間がどんどんプロスポーツ界に入ってほしいという思いはあります」
マキヤ 「なるほど……前職は特に関係ないですか?」
川田さん 「関係ないですね! 新しいことを取り入れる人材が欲しいので、業界問わずいろいろな職種が入ってきたほうがいい。弊社はグッズも企画からやるので」
マキヤ 「野球全然好きじゃなくてもいいですか?」
川田さん 「野球全然好きじゃなくていいです」
マキヤ 「そうなんですね(笑)。指示を受けて働きたい人もいると思うのですが、そういう人でもいけますか?」
川田さん 「もちろんです。決まったことを完璧に遂行するタイプの人も絶対に必要です。ただ、変化の速い会社なので、そこに対応できない人は少し向かないかもしれません」
マキヤ 「なるほど……ちなみに、プロスポーツ界の給料ってどうなんですか? こっそり教えてください」
川田さん 「ほかの会社のことはあまりわかりませんが……弊社は、自分が目指す場所と給料は十分に狙える会社だなって思いますね」
マキヤ 「イメージなんですが、働いているみなさん気が強そうですよね」
川田さん 「そんなこともないですよ(笑)。ただ、意思をハッキリ持っている人が多いなという印象はあります」
マキヤ 「プロスポーツ界を変えてやる! みたいな人が望ましいんですか?」
川田さん 「いいですね! 本当に新しいことが次から次へ生まれるんです。スタジアムという枠にとらわれずマッチョだらけのカフェをやったり、動物園をやったりしてるので、そういうのをリーダーシップをもって実行できる人は特に来てほしいです」
マキヤ 「野球のことは全然知らなくていいんですよね?」
川田さん 「それは全然問題ございません! 若くてもやりたいことができる球団なので、流れの速い中で成長もできます。一緒に仕掛けていきましょう!」
おわりに
こんなミーハーな写真を撮ってしまうくらいに楽しかった。持っていたタオルを広げるように促されたので茂木選手の大ファンみたいになってしまったが、最初に書いたようにぼくは野球に全く詳しくない。それでもあれだけ楽しかった。
仙台に観光に来て楽天生命パーク宮城に行くのは、選択肢の1つとして大いにありだと思う。ご飯たくさんあるし雰囲気もいいし、野球を知らなくても見ていたらだいぶ面白い。
そしていろんな人を取り込む仕掛けを施していきたい人は、プロスポーツ界で働くという選択肢も大いにありなんじゃないかなと感じた。野球だけじゃなく、コアなファンしか知らないスポーツの世界はたくさんある。活性化できる仕掛けは、まだまだ無限にありそうな気がした。
text & photo:マキヤ
※人物の所属および掲載内容は取材当時のものです。










