スポーツ界全体の活性化を目指す
園部 健二さん
パシフィックリーグマーケティング株式会社 セールス&マーケティング チーフディレクター 兼 キャリアアドバイザー
パシフィックリーグマーケティング株式会社(PLM)は、パシフィック・リーグ加盟6球団の出資で設立された合弁企業。プロ野球だけでなく、サッカーやバスケットボールなど他分野のスポーツのマーケティング事業も担う。園部健二さんはセールス&マーケティングの分野で日本のスポーツ界全体の活性化を目指している。
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野球だけでなく他のスポーツも含めた新規事業を模索する[写真]新井賢一
全スポーツ対象の仕事
———現在の業務内容を教えてください。
私の仕事は、野球、サッカー、バスケットボールなど、あらゆるスポーツを対象に新しい企画の考案や商品開発をし、それをクライアントに結びつけることです。『パシフィックリーグマーケティング』という企業名ですが、野球に限らず「スポーツ」という軸で何でもやっています。
例えば、パーソル パ・リーグTVのシステムを利用して、ほかのスポーツの動画を配信するなどクラブやリーグ運営のサポートさせていただいたり、企業側のスポーツを活用した広告宣伝やCSR活動のサポートを行うなどこれまで手を付けていなかった分野や業界と手を組み、さまざまなプロモーションを展開しています。
———野球以外のスポーツもカバーされているのですね。
これまで弊社では6球団共同プロモーションや6球団の主催試合を配信するパーソル パ・リーグTVの配信などパ・リーグに関わるビジネスを中心に行ってきました。弊社のミッションは「プロ野球の新しいファンを増やすこと」ですが、根本的には競技を超えてスポーツに関心を持っていただくことが大事だと考えております。野球で培ったノウハウを活かし、ほかのクラブ、リーグ、企業の皆さまと手を組んでマーケットを大きくできればと思います。
———これまでどんな仕事に取り組んでこられましたか?
2017年に中途採用で入社し、先に述べたような新しい企画、商品の考案のほか、人材紹介事業PLMキャリアの立ちあげも担当しました。その仕事では、労働局に提出する書類を作ったり、責任者講習に参加したりと、いろいろなことをしましたね。
———幅広い業務を行っていると思いますが、1日のスケジュールはどうなっていますか?
決まったルーティンワークはなく、その日その日でスケジュールは大きく異なります。例えば、クライアントを訪問して回るのがメインの日もあれば、企画会議がメインの日もあります。オフィス自体もデスクはあるものの、ソファなどのフリースペースで仕事をしても良く自由です。ただ、自由さゆえに「セルフマネジメント」が重要な仕事だと言えますね。
社風として自由なだけに「セルフマネジメント」が重要[写真]新井賢一
ヒントを探す毎日
———これまでの経歴を教えてください。
新卒で営業系の仕事をして、そこから音楽系の出版社、そして大手ゲーム会社といった形でキャリアを積んできました。出版社からゲーム会社への転職の際は、他企業も候補に挙がっていたのですが、面接を担当してくれた方が「黙ってうちに来い!」といった熱い人で、それに惹かれましたね。
そこでダーツマシンの営業を担当した後に、本社の海外営業を担当しました。3年ほどその部署におり、マネジメント職にも就くことができたのですが、幼いころからお世話になった野球に恩返しがしたいという思いから転職を決めました。
———PLMを選んだ理由は?
私自身、中学卒業まで野球漬けの毎日を送っていたのですが、「野球以外のことも楽しみたい」と野球をやめてしまい、そのことを大人になってもずっと後悔していました。その後悔の念があったからなのか、たまたま見た『ベースボール・レジェンド・ファウンデーション』というNPO法人の「野球で、人を救おう。」というキャッチコピーが心に響きました。それがきっかけで野球に恩返しができないかと思うようになりました。
その後、転職活動の中で、野球に関するさまざまな企業をリサーチして、パシフィックリーグマーケティングと出会い、ここなら理想の仕事ができるのではと思い、応募したのです。
———転職に迷いはありませんでしたか?
実は非常に迷いました。スポーツ業界の空気感もまったく分からない状態でしたし、小さな子どももいますからね。また自分を取り立ててくれた上司を裏切ることになるのではとも思いました。ただ、それでもチャレンジしたいという気持ちが強かったので、最終的には一度きりの自分の人生と思い決断しました。
———思いきって今の会社に入ってみてどうでしたか?
人にも環境にも恵まれていますし、新たな気付き、発見が多く、毎日が非常に楽しいです。外を歩きながらいろいろなものを見て「あれはこうすればいいのでは」、「あれはビジネスになるのでは」と考えたり、多くの人に話を聞いてヒントを探したりの毎日です。
また、今の仕事から「どんなことも考え方次第で新たな価値になる」と学びました。ある人にとっては無価値なものでも、他の人にとっては100万円の価値があったりします。求めているニーズを把握すること、そして求められているものを提供するためにあきらめず走り続けることの大切さを学んだように思います。
———今の仕事の「やりがい」としてはどんなことが挙げられますか?
もともとお世話になった、そして大好きだった「野球」の仕事をできていることが一番ですね。勤務時間以外も仕事のことを考えることは多いですが、好きな「野球」や「スポーツ」のビジネスを考えている時はまったく苦にはならず、むしろ楽しい時間を過ごしています。
パ・リーグの球場でイベントなどをすることも[写真]新井賢一
野球に恩返しがしたい
———スポーツ界の今後の課題や未来像についてどう考えていますか?
野球に限らずスポーツ全体で見ても、活用しきれていないことや魅力的なのに埋もれてしまっていることがまだまだたくさんあります。今後は、そうしたことを活かして収益につなげ、ファンの皆さんに還元することが大事なのかなと思います。そうすることでスポーツ界全体が盛り上がり、業界が潤うことにつながるのではないかと考えています。
———スポーツ業界ではどんな人材が求められていますか?
PLMキャリアという人材事業をローンチし、人事の方とお話しさせていただくことも増えました。その中で感じるのは、ファン目線を持つことは大事ですが、それに加えてやはり「ビジネス視点を持つこと」が大事だということです。
———スポーツチームの規模によって求められる人材も異なりますか?
例えばですが、スタッフが少人数の企業の場合、営業担当や広報担当など、役割が固定されていないケースがほとんどです。そのため、どの仕事もできるユーティリティー性の高い人材を求めます。一方、スタッフ数が100人を超えるような企業では、各職種のスペシャリストが求められる傾向にあります。もし転職をお考えの方がいらっしゃるようでしたら、自分の得意とすることと将来やりたいことと、こういった企業の特性などを照らし合わせて、業界研究を進めていくことが良いかと思います。
———園部さん自身の今後の夢や展望を教えてください。
スポーツの価値を上げていきたいですね。やはり「野球に恩返しをしたい」という気持ちでこの業界に入ったので、まずはプロ野球界を今以上に盛り上げることが目標です。それがスポーツ界全体の活性化につながるとうれしいですし、その一助となれればと思います。
野球に恩返しをし、スポーツ界全体の活性化につながる仕事を[写真]新井賢一
interview & text:dodaSPORTS編集部
photo:新井賢一
※人物の所属および掲載内容は取材当時のものです。










