BREAK THE BORDERの精神
数野 真吾さん
公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ 競技運営グループ マネージャー
「B.LEAGUE(Bリーグ)」(公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ)は、2016年秋に開幕した男子プロバスケットボールの新リーグ。シーズン3年目、始まったばかりのリーグで「興行のど真ん中」という競技運営に携わる数野真吾さんは、過去の経験を活かしながらバスケ界の常識を打破していく。
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数野さんは3年前、当時数人しかいなかったB.LEAGUEに転職[写真]新江周平
縁あってバスケ業界へ
———この仕事に転職した経緯を教えてください。
ぼくは入社して3年目になります。大学卒業後、北海道のバスケットボールチームのマネージャーを1年ほど務め、体育器具の販売店の営業を経て、道立の総合スポーツセンターの管理運営担当として約5年間勤務しました。
そこで働いているときに、前々職でお世話になった方から「B.LEAGUEで一緒に働かないか」と声を掛けていただきました。当時スタッフはまだ数人で、B.LEAGUE開幕前の準備段階でした。自分自身、バスケの競技経験やチームスタッフとしての経験からとても興味を抱きました。
特に前職のスポーツセンターは、バスケのプロチームのホームアリーナでもあり、さまざまなイベントも見てきましたからより魅力的に映ったんだと思います。プロバスケリーグを作るなんて夢のようなことだと思っていましたから、面白そうなことが起きるだろうなと入社を決めました。
———スポーツ業界には携わっていたいという思いが強かったんですか?
いえ、すべてたまたまなんです。高校までバスケットボールの競技経験はありますが、大学時代はほとんどしていませんし、必ずしもバスケットボールにこだわってはいなかったんです。でも今こうしてB.LEAGUEに携わっているのは、縁あって結ばれていったのかなと思っています。
数野さんは3年前、当時数人しかいなかったB.LEAGUEに転職[写真]新江周平
より良い競技運営を目指す
———日々の仕事の内容を教えてください。
ぼくは競技運営という、B.LEAGUEの興行のど真ん中の仕事をしています。例えば、興行をしていく上でのレギュレーションや、選手とクラブの契約についてのルールなどを協議して決定し、クラブに伝え、運用を徹底していくことなどです。
メールチェック以外は、ルーティンの仕事はほとんどないかもしれません。スタッフも限られているので、むしろ仕事のスケジュールに余裕をもって、何が起きても対応できるように意識しています。
———何か起きたときというのは?
本当にさまざまです。例えば、リーグ開催中の場合、選手が何か試合中に問題を起こしたら懲罰を科さなくてはいけない場合もあるので、試合中に起きたことなどを派遣元の日本バスケットボール協会の審判グループと定期的に協議したり。台風で興行が中止になってしまったこともありました。リーグ3年目でまだまだ初めてのことが多く、調整力と判断力が求められます。
興行面では、ファンの皆さんにB.LEAGUEを魅力的に感じてもらうにはどうすればいいのか。一方で競技面でも選手がパフォーマンスを十分発揮できるルールを考え、決めていく。どちらも必要なことですが、今リーグとしては、事業としての成功を確立していく段階と考えているので、より魅力的な試合にできるように、クラブチームにご協力いただきながら、より良い競技運営を目指しています。
———専門知識はもちろん、さまざまな視点が必要なポジションですね。
そうですね。そういった意味ではこれまでのキャリアが活きています。興行については、前職のスポーツセンター運営の中で、スポーツだけではなくファッションショーや音楽ライブなども行っていましたので。あとは、プロチームでのマネージャーの経験があるのは大きいですね。
あのときはなかなかバスケ界全体に未来を描けなかったので、あのときの葛藤や悔しさもあって、今があると思います。B.LEAGUEは、本当にゼロからつくってきて開幕し、そこから地道ではありますが、成長し続けることができているので、今はとても充実しています。
2016年の開幕戦をはじめ数々のビッグイベントを成功させた[写真]B.LEAGUE
クラブと一致団結して進む
———今のキャリアの目標や夢はありますか?
東京ドームが目の前に見えるオフィスで働いていますから、いつか東京ドームで試合を開催してみたいですね。もちろん入場者数を追うだけがすべてとは思っていないのですが、年々お客さんが増えていけば、いつかチャレンジしてみたいです。
———さらなる成長に向けて、今のB.LEAGUEには、どんな人材が必要だと思いますか?
競技運営グループに関しては、バスケットボールの中身を知っている必要はありますが、もっと必要なのは、決断力やコミュニケーション能力です。リーグがどこを目指しているかを共有して、必要なことを決めていく。別の方向を向いている場合もクラブとリーグが一致団結して進んでいくことが必要だと思っています。
リーグが掲げている言葉は、「BREAK THE BORDER」。今までの常識に沿って行動を起こすのではなく、そこを打破して新たな可能性を導いていく。実際そういった人材が集まってきているので、この精神を社内で実行していくことで、新たな可能性が開けると信じています。
数野さんは「BREAK THE BORDER」のマインドを大切にする[写真]B.LEAGUE
interview & text:dodaSPORTS編集部
photo:新江周平
※人物の所属および掲載内容は取材当時のものです。










